つなぎ売り(クロス取引)を利用すれば、株価の値下がりを気にせずに株主優待を手に入れることができます。

つなぎ売りとは、株式の「現物買い」と「空売り」の両方を注文することです。「現物買い」で株主優待の権利を確保しつつ、「空売り」で株価の値下がりによる損失をカバーするのです。この2つを組み合わせることによって、実質的に手数料のみで株主優待を手に入れることができます。

今回は、4月につなぎ売りをするときの注意点とおすすめ銘柄を紹介します。今回の内容を参考に、あなたもぜひ4月の株主優待を取得してみてください。

<参考記事>つなぎ売りの具体的な方法を知りたい人は下記の記事をご覧ください

株主優待をタダ取り!つなぎ売り(クロス取引)の方法と注意点


つなぎ売り(クロス取引)では逆日歩の発生に注意が必要

つなぎ売りをするときには、いくつかの注意点があります。その中でもっとも注意すべきなのが「逆日歩(ぎゃくひぶ)」です。

逆日歩とは、「空売りをしたときに発生する可能性がある追加の手数料」です。空売りをする人があまりに多いときに発生することがあります。

逆日歩の怖いところは、「いつ」「どれくらいの金額」で発生するかわからないことです。

過去には、ホットランド(銘柄コード:3196)に13,500円の逆日歩が発生したことがあります。ホットランドの株主優待は、「築地銀だこ」などで使用できる1,500円相当の株主優待券です。つまり、「13,500円の逆日歩を支払って1,500円の優待券を手に入れた」という状況になったのです。

このような事態を避けるためにも、逆日歩には十分に注意する必要があります。そして、逆日歩を確実に回避する方法が一般信用売りで空売りをすることです。なぜなら、一般信用売りには「逆日歩が発生しない」というメリットがあるからです。

ただ、一般信用売りには以下のようなデメリットもあります。

  • 一般信用売りができる証券会社は、SBI証券や楽天証券など一部の証券会社に限られる
  • 一般信用売りができない銘柄もある
  • 一般信用売りは早い者勝ちである(一般信用売りは注文できる数が限られている)


このようなデメリットもありますが、簡単に逆日歩を回避できることから、特に初心者には「一般信用売り」をおススメします。

一方、空売りに慣れている人は制度信用売りを利用しても構いません。制度信用売りには上記のデメリットがない反面、逆日歩発生リスクがあります。

そのため、制度信用売りをするときは必ず貸借倍率(信用買い残高と信用売り残高の比率)を見て、空売りをしている人が少ないことを確認するようにしてください。企業規模なども影響するため一概にいえませんが、貸借倍率が3.00以上なら逆日歩が発生するリスクは低いでしょう。

4月特有の注意点:株主優待を設定している企業が少ない

4月は「株主優待制度を設定している企業」がとても少ないです。日本では3月決算や12月決算の会社がほとんどなので、3月、6月(12月決算の上半期)、9月(3月決算の上半期)、12月に株主優待制度を設定していることが多いのです。

そのため、銘柄を選ぶときは少し基準を甘くしたほうがよいです。そうしないと、「つなぎ売りをする銘柄がない」という状況になる可能性があります。

私は普段は以下の基準で銘柄を選んでいますが、4月はこの基準を満たさない銘柄でも候補に入れるようにしています。

  • 基準①:株主優待の価値が2,000円以上
  • 基準②:株主優待の価値が購入価格の1%以上


4月は厳密な基準を設けていませんが、資金に余裕があれば「株主優待の価値が1,000円」のものでもつなぎ売りをすることがあります。

4月のおすすめ銘柄

最後に、4月のおすすめ銘柄を紹介します。なお、4月はつなぎ売りの対象銘柄が少ないので、「つなぎ売りはできないけどお得な銘柄」も最後に3つ紹介しています。

つなぎ売りができる銘柄

■ アイ・ケイ・ケイ(2198)

優待内容 1,500円相当の自社特選品(お菓子)と食事優待券(1,000円引き or 2,000円引き)
私の取得歴 なし
コメント ・お菓子は女性に人気がある
・食事優待券は「ラ・ロシェル」などのレストランで使える。また、ランチとディナーで割引金額が異なる(ランチ:1,000円引き、ディナー:2,000円引き)。

■ テンポスホールディングス(2751)

優待内容 8,000円分の優待食事券
私の取得歴 あり
コメント ・ステーキ店「あさくま」など複数のレストランで使える非常にお得な優待券
・一般信用売りできない可能性が高いので、逆日歩に注意しながら制度信用売りをする必要がある

■ 東和フードサービス(3329)

優待内容 1,500円分の優待食事券
私の取得歴 なし
コメント ・「椿屋珈琲店」など複数の店舗で使える優待券
・一般信用売りできない可能性が高いので、逆日歩に注意しながら制度信用売りをするが必要ある

■ ヤーマン(6630)

優待内容 13,000円相当の自社商品(化粧品・美容器)
私の取得歴 なし
コメント ・優待利回り(株価に対する株主優待の価値)が高いのでとてもお得
・私も妻も使うことがない上に、ネットオークションでは売りにくいので私は取得したことがない

■ 伊藤園(2593)

優待内容 1,500円相当の自社製品(緑茶・ジュースなど)
私の取得歴 あり
コメント さまざまな種類の飲料がもらえるので、普段飲むことのない商品を飲んでみたい人にもおすすめ

■ フリービット(3843)

優待内容 3,000円相当の優待商品(電化製品や食品など)
私の取得歴 なし
コメント ・フリービットのHPにアクセスし、ウェブサイト上から商品を選ぶ必要がある
・一般信用売りできない可能性が高いので、逆日歩に注意しながら制度信用売りをする必要がある

■ アインホールディングス(9627)

優待内容 2,000円分の自社グループ商品券
私の取得歴 なし
コメント ・アイングループのドラッグストアで使える
・株価が高いのである程度の資金が必要

■ くらコーポレーション(2695)

優待内容 2,500円分の優待食事券
私の取得歴 なし
コメント ・「くら寿司」で使える優待食事券
・株価が高いのである程度の資金が必要

つなぎ売りができない銘柄

■ ビューティガレージ(3180)

優待内容 4,400円相当の自社オリジナル商品(ヘアワックスなど)
私の取得歴 なし
コメント 1年以上継続して株を保有した場合に贈呈されるので、つなぎ売りの対象にならない

■ フジ・コーポレーション(7605)

優待内容 5,000円相当の三菱UFJニコスギフトカード
私の取得歴 なし
コメント 1年以上継続して株を保有した場合に贈呈されるので、つなぎ売りの対象にならない

■ ベルグアース(1383)

優待内容 4,000円相当のメロン(2玉)など
私の取得歴 なし
コメント 空売りできない銘柄なので、つなぎ売りの対象にならない

まとめ

  • つなぎ売りをするときは、逆日歩に十分注意する必要がある。
  • 4月は株主優待を設定している企業が少ないので、銘柄を選ぶときの基準を甘くしたほうがよい。

今回は、4月につなぎ売りをするときの注意点とおすすめ銘柄を紹介してきました。4月はつなぎ売りの対象となる銘柄が少ないですが、テンポスホールディングス(2751)のようにとてもお得な銘柄もあります。あなたもつなぎ売りでお得に株主優待を取得してみましょう。