「株式投資に興味はあるけれど、知識も経験もない」という人がいるのではないでしょうか。
今ではインターネットで株取引ができるようになったので、昔と比べて株式投資がより身近なものになりました。しかし、初心者にとって株式投資はまだまだ敷居が高い資産運用の一つです。
「資産を増やすつもりで株式投資に貯蓄をつぎ込んだのに、大損してしまった!」なんてことは避けたいですよね。そこで今回は「株式投資の初心者が大損しないために注意するべき4つのポイント」を解説していきます。この内容を理解すれば、株式投資で大失敗するリスクを避けられるようになります。
集中投資を避ける
あなたは「卵は一つの籠に盛るな」という言葉をご存知でしょうか。仮に一つの籠に大切な卵をすべて盛っていたとします。もしその籠を落とした場合、すべての卵が割れてしまいます。
株式投資でも同じです。いくら自分が好きな会社だからといって、一つの銘柄に財産をつぎ込んではいけません。また、業界に関しても同様です。自分の好きな業界だけに投資をするのは危険です。
もしその会社が突然倒産したり、その業界が低迷したりしたときに全財産を失う恐れがあるからです。
以前、堀江貴文氏の会社(ライブドア社)の不正会計が原因で株価が急落したことがありました。堀江氏は知名度が高かったため、この会社に夢を託して貯蓄の多くを投じてしまった人もいます。しかし、不正会計の発覚により株価は大暴落しました。投資家が裁判で堀江氏に文句を言っていたそうですが、どうすることもできませんでした。
株式投資の世界では一つの銘柄、一つの業種に絞って投資することを「集中投資」といいます。集中投資は株式投資においてとても危険です。
それでは、どのようにしたらよいのでしょうか? 集中投資が危険であるならば、「分散投資」をすればいいのです。
「分散投資」は「集中投資」と対極にある投資方法です。投資用財産を複数の銘柄、業種に分散させ、銘柄当たり、業種当たりの投資額を少額にすることで損失を被るリスクを分散させるのです。
分散投資をする場合は、「1銘柄に投資する金額は、証券口座に入金している金額の20%以下にする」と自分の中でルールを作ってしまうことが大切です。こうすることで、最低でも5銘柄以上に分散して投資することができます。
このように分散投資をすることで、急な会社の倒産や経済事情の変化によって自分の全財産を一瞬で失うリスクを避けることができます。
「塩漬け株」を保有し続けない
株式の「塩漬け」をご存知でしょうか。株式投資では、必ずしも常に利益が出るわけではありません。時には買った後に株価が下がってしまうこともあります。このように、買ったときより安くなった株式を保有している状態を「含み損がある」といいます。
例えば、株価が3,000円の株を100株買ったとします。そして数日後、株価が2,800円に下がったとします。この場合、「(3,000円-2,800円)× 100株=20,000円」の含み損があることになります。
含み損を抱えていても、「そのうち株価が上がるに違いない」と考えてそのまま株式を保有し続ける人がいます。ところが、株価がもっと下がってしまい、含み損が膨れ上がることがあります。このような状態を株式の「塩漬け」といいます。
私も以前、サンシティ(銘柄コード:8910)という不動産会社の株式を塩漬けさせたことがあります。当初、株価が上がると見込んで約50万円をサンシティ社の株式に投資しました。ところが、株価はどんどん下がり続けました。
私は「二束三文で売るくらいなら、このまま株式を保有し続けて株価が回復するまで待とう」と考えていました。しかし、最終的にサンシティ社は倒産してしまい、1円も返ってくることはありませんでした。
当時の私は株式投資の経験が浅かったため、含み損が出た株式を売却することができなかったのです。その結果、株式を塩漬けにしてしまい大きな損失を被ってしまいました。
含み損が出て、「株価が上がらない」と判断した株式は、損失が出ることを覚悟で早めに売却する必要があります。これを「損切り(ロスカット)」といいます。
私の経験からいうと、暴落するような株式を買ってしまったことを後悔することはあっても、損切りしたことを後悔したことはほとんどありません。それくらい「損切り」は重要なのです。
損切り(ロスカット)を判断するポイント
このように書くと「株価が上がらないと判断する基準は?」「どれくらい株価が下がったら損切りするの?」といった疑問を持つ人もいると思います。
この答えはその人の投資スタイルによって変わるため一概に述べることはできません。一日のうちに複数回の売買を繰り返すデイトレーダーであれば、株価チャートのみを指標にして株価が数%下がっただけで損切りするのではないでしょうか。
私自身は「成長株を買って数ヶ月~数年保有してから売却する」という中長期の投資スタイルです。そこで、参考までに私が損切りを判断するポイントを紹介します。
私の場合は、「会社の業績が悪くなって株価が値下がりしたとき」に損切りを検討します。会社は3ヶ月ごとに四半期決算を公表しています。この四半期決算の内容が予想以上に悪く、翌日以降株価が大きく下がった場合は損切りをする可能性が高いです。
逆に、「会社の業績は良いけど株価が下がっている」というときは静観します。場合によっては株式を追加で買うこともあります。長く株式投資をやっていると、「業績は良いけど株価が下がる」という場面に何回も遭遇します。このときに焦って売らないように気をつけています。
このように、あなたの投資スタイルに合わせて、損切りするポイントをルール化することがとても大切です。
また、予想に反して株価が上がらなかった理由を「自分なりに」分析することも大切です。その分析が正しいかどうかはさておき、自分なりの反省を繰り返すことで、自分の負けパターンを理解できるようになります。その分析が、次の銘柄選定に役立つのです。
安易な情報に踊らされない
株式投資を行っている人は、株式に関連する情報を雑誌やテレビ、インターネットなどから入手します。ただ、このような情報が出てから株式を買うと、その後思い通りに株価が上がらなかったり、逆に株価が値下がりしたりすることがあります。
例えば、2016年12月にカジノ法案が可決されたことをきっかけに、カジノに関連するエンターテインメント系の銘柄が市場で大量に売られたことがありました。
株式投資初心者はカジノ法案のニュースを見て、「これからカジノはいけるぞ」とカジノ関連企業の銘柄を買うかもしれません。実際、私の友人も日本金銭機械(銘柄コード:6418)という会社の株を購入していました。
しかし、プロの投資家はこのタイミングでカジノ関連企業の株式を売りに出したのです。当然、私の友人は含み損を抱えることになりました。
株式を「買いたい」という人が多ければ多いほど、株価は上がります。「カジノがいける」と判断した人が多ければ多いほど、関連銘柄の株価は上がります。しかし、以前から株式を保有していたプロの投資家はそのタイミングを狙って高値で株式を売却することができたのです。
これまで株式投資で損をし続けている人は、「皆が買いたいと思う」関連ニュースが出た後に、その株式を買っていないかをよく考えてみてください。あなたが買ったときには、すでに高値になっていた可能性があります。
なお、私は雑誌やインターネットの情報をもとに株式を購入することはほとんどありません。
信用取引で買いすぎない
株式投資には「信用取引」という仕組みがあります。簡単にいうと、借金をして株式投資をする方法です。
例えば、株価が100万円の株式があったとします。ただ、手元には50万円しかありません。この銘柄の株価が上がると思っても、自分の資金だけでは購入することができないのです。
そこで証券会社に自分を信用してもらい、株式売買専用のお金(100万円)を借りて株取引をする。これが信用取引です。
株式売買専用といっても借金なので、手数料の他に金利を証券会社に払わなければなりません。また、通常は6ヶ月以内に買った株を売却して借金を返す必要があります。
信用取引を利用すれば、手元資金が少なくても大きなチャンスを逃さずにつかみ取ることができます。一方で、信用取引は自分の身の丈よりも大きな資金を動かすことに繋がります。そのため、失敗したときの損失が大きくなるというデメリットもあります。
私は信用取引で株式を買いすぎていたため、リーマン・ショックで株価が暴落したときに大損してしまったことがあります。
当時、私は証券会社の口座に約300万円預けていました。そして信用取引により約800万円分の株式を購入していました。
このとき株価が10%下落すると、80万円の損失になります。この損失は自分の証券口座から支払わなくてはなりません。株価の下落は10%ですが、自分の資産は300万円か220万円へと約30%も目減りするのです。
結局、当時の私の年間収支はなんとマイナス81%でした。300万円の運用資金は1年間で約55万円にまで減少したのです。
それでも私は、現在も信用取引を行っています。ただ、取引額は証券口座に預けた金額の半額程度に抑えています。株式投資初心者の場合は、最初は信用取引には手を出さず、現物取引(自分の資金だけで行う取引)で運用するのがよいでしょう。
まとめ
株式投資初心者は大損しないために、今回解説した4つのポイントに注意して投資を行いましょう。このようなノウハウを学んでいくことで、株式投資で成功できるようになるのです。
- 分散投資をする。
- 含み損が出たらそのままにせず、売却を考える。
- 銘柄を選定するときには雑誌やネットなど皆が見る情報をあてにしすぎない。
- まずは現物で取引する。