株式投資家は「テクニカル派」と「ファンダメンタル派」に大別されます。テクニカル派は、株価チャートを分析することにより、適切と思われるタイミングで株の売買を行います。一方、ファンダメンタル派は企業のファンダメンタルズ(経営状態)を分析した上で、株の売買を行います。

私は基本的にファンダメンタル派です。そのため、新たに投資先の企業を探すときは、その企業の経営状態を知るために、過去の有価証券報告書を確認します。また、すでに投資している企業に関しては、詳しい情報をタイムリーに得るために企業が発信するIR情報を確認します。

今回は、私がこれらの情報をどのように入手しているか紹介していきます。ファンダメンタル分析を行う際はさまざまな情報を読み解く必要があるので、効率よく情報を集めるようにしましょう。

新たな投資先を分析するときはEDINETを利用する

新たな投資先候補の分析を行うときは、過去の有価証券報告書を数年分まとめて入手できる「EDINET」というウェブサイトが便利です。EDINETは「有価証券報告書などを取りまとめたデータベースのようなサイト」で、金融庁に運営されています。

※ EDINETには下記のリンクから移動できます

EDINETへのリンク


仮に、私がトヨタ自動車(7203)、日産自動車(7201)、SUBARU(7270)の3社を新たな投資先候補に挙げたとします。

このとき、各企業の経営状態を分析するために、各社のホームページを訪問してIR情報を取得しても構いません。ただ、複数の企業のホームページから個別に情報を入手するのは少し面倒です。

このような場合に、EDINETが役立ちます。EDINETであれば、各企業の有価証券報告書を数年分まとめてダウンロードすることができるからです。

EDINETの使い方

それでは、EDINETの具体的な使い方を確認していきましょう。EDINETは以下のような流れで使用します。

  1. EDINETに移動する
  2. 「書類検索タブ」を押す
  3. 企業の名称 or 銘柄コードを入力する
  4. 「有価証券報告書/半期報告書/四半期報告書」にチェックを入れる
  5. 提出期間「全期間」を選択する
  6. 「検索」をクリック
  7. 有価証券報告書のPDFファイルをダウンロードする


EDINETに移動したら、下図のように「書類検索タブ」をクリックします。

EDINET-1

次に、「提出者/発行者/ファンド」の欄に、企業の名称か銘柄コードを入力します。今回は、トヨタ自動車の銘柄コード「7203」を入力します。

EDINET-2

「書類種別」の欄は、「有価証券報告書/半期報告書/四半期報告書」にチェックを入れます。また、「提出期間」の欄は「全期間」を指定します。EDINETでは、最長5年間の有価証券報告書を確認できるので、「全期間」を指定すれば、5年分の資料を入手することができます。

検索結果には、有価証券報告書の他に四半期報告書などが表示されますが、これらは無視して構いません。「有価証券報告書」と表示されているのは5つだけなので、このPDFをすべてダウンロードすれば終了です。

EDINET-3

なお、もし5年分の有価証券報告書が表示されない場合は「上場して5年経っていない」ということになります。

有価証券報告書の中で確認する項目

有価証券報告書はかなり情報量が多いので、これをすべて読む必要はありません。確認すべき項目は「連結貸借対照表」「連結損益計算書」「連結キャッシュ・フロー計算書」の3つです。

ちなみに、「連結」には子会社や関連会社も含めたグループ全体の決算報告という意味があります。「連結」に対して、その会社単独の決算報告の場合は、「単体」と記載されています。私たちが企業分析を行う際は、会社の全容を把握するために、「連結」の内容を読んでいくようにしましょう。

実際に各項目を確認するときは、「ダウンロードしたPDFファイルを開く → Ctrl+F を押す(Macの場合は、command + F) → 検索窓に「貸借対照表」と入力 → Enter」という流れで検索すれば、目的のページにジャンプできます。

今回は、各項目の具体的な読み方までは解説しませんが、EDINETを利用すれば、複数の会社の有価証券報告書を簡単に入手できることを覚えておいてください。

すでに投資している会社のIR情報は企業HPから入手する

上述のように、EDINETを使えば複数の会社の有価証券報告書を簡単に入手できます。ただ、EDINETには「補足説明資料や決算説明会動画などを確認できない」という欠点があります。

一方、企業のIRページであれば、「決算補足説明資料」や「決算説明会動画」などがアップされています。これらには決算内容の要点がまとめられているため、四半期決算や本決算の全体像を把握する際にとても役立ちます。

そのため、実際に投資している企業が決算発表を行うときは、EDINETではなく企業のIRページから情報を入手したほうがよいでしょう。

私も投資先企業の決算発表はとても気になるので、発表日には各企業のIRページを訪れて確認するようにしています。

以上のように、EDINETと企業のIRページを使い分けることで効率よく情報収集することができます。投資先候補を吟味する段階では、複数社の有価証券報告書をまとめて入手できるEDINETを利用し、実際に投資している企業の情報を得るためには、その企業のIRページを確認するとよいでしょう。

まとめ

  • EDINETを利用すれば、複数の会社の有価証券報告書を数年分まとめてダウンロードできる。
  • EDINETには、補足説明資料や決算説明会動画などを確認することができない。そのため、すでに投資している企業の情報を得るためには、各企業のIRページを確認したほうがよい。

今回は、企業のファンダメンタル分析を行うときに使う資料の入手方法についてまとめました。EDINETのことを把握していなかった人もいると思うので、今回紹介した手順で一度使ってみてください。

また、私はEDINETと各社のホームページを使い分けていますが、このスタイルが正しいというわけではありません。あなたなりのスタイルにアレンジして効率よく情報を集めるようにしましょう。