株を購入するメリットはいくつかあります。例えば、「① 株価の値上がり益」「② 配当金」「③ 株主優待」の3つはわかりやすいメリットです。
特に、「② 配当金」と「③ 株主優待」は株を保有しているだけで確実にもらうことができます。そのため、配当金や株主優待を目的に株式投資をしている人もたくさんいます。
ただ、配当金と株主優待をもらうときには気を付けなければならないことがあります。そこで今回は、「配当金と株主優待をもらうときの注意点」について解説していきます。今回の内容を理解して、配当金や株主優待をもらい損ねないようにしましょう。
配当金や株主優待を配布していない企業もある
すべての企業が株主に対して配当金や株主優待を配布しているわけではありません。両方とも配布している企業もあれば、片方しか配布していない企業もあります。
例えば、日産自動車(銘柄コード:7201)は、配当金と株主優待を配布しています。一方、同じ自動車業界でも、トヨタ自動車(7203)は配当金しか出していません。トヨタ自動車の株を保有していても株主優待はもらえないのです。
また、業績の悪い会社や上場したばかりの若い企業は、配当金と株主優待の両方とも配布していないことがあります。
このように、配当金や株主優待に関しては、会社の方針や業績と密接に関わっています。すべての企業が配当金や株主優待を配っているわけではないのです。そのため、株を購入する前に、配当金や株主優待の有無を確認しておきましょう。
権利付き最終日に株を保有しておく必要がある
配当金や株主優待を受け取るためには、企業から株主として認められる必要があります。そのためには、権利確定日(株主としての権利が確定する日)にあなたの名前が株主名簿に記載されている必要があります。
ただ、株を買ったあと、すぐに株主名簿に名前が記載されるわけではありません。株を買ってから株主名簿に名前が記載されるまでに3日間のタイムラグがあるのです。
そのため、実際には、権利確定日の3営業日前に株を保有しておく必要があります。この「権利確定日の3営業日前」のことを権利付き最終日といいます。
例えば、2018年10月であれば、10月31日が権利確定日、その3営業日前の10月26日が権利付き最終日になります。
極端なことをいえば、権利付き最終日(10月26日)に株を買って、その翌営業日(10月29日)に株を売っても構いません。たったの2日間しか株を保有していなくても株主として認められるため、配当金や株主優待を受け取ることができるのです。
配当金と違って、株主優待は株数に比例しない
通常、配当金は「現金」として受け取ります。企業によって金額は異なりますが、一般的に株価に対して0.5~3%くらいの配当金を受け取ることができます。
そして、配当金の金額は、保有している株数に比例して増えます。例えば、「1株あたり10円」の配当金を出す企業があったとします。この会社の株を100株保有している人は1,000円、500株保有している人は5,000円の配当金を受け取ることができるのです(いずれも税引き前の金額)。
一方、株主優待の場合は、現金ではなく「自社商品の詰め合わせ」「お米」「食事優待券」「金券(クオカード、商品券、図書カードなど)」などの商品を受け取ります。
そして、配当金と違って、株主優待の価値は保有している株数に比例するわけではありません。企業によって異なりますが、株主優待は下記のように配布されることが多いのです。
- 100株以上 1,000株未満の株を保有している株主:1,000円相当の自社商品詰め合わせを贈呈
- 1,000株以上の株を保有している株主:3,000円相当の自社商品詰め合わせを贈呈
このように、株主優待の価値は保有している株数に比例しません。勘違いしやすいので、この特徴はしっかりと理解しておきましょう。
発送される時期と海外への発送
配当金と株主優待は、権利確定日の約3ヶ月後に受け取ることができます。ただ、株主優待品が「果物」や「お米」などの場合は、収穫時期に応じたタイミングで発送されることになります。
また、配当金は海外の投資家にも支払われますが、株主優待は海外発送に対応していないケースが多いです。そのため、海外投資家の中には、「株主優待よりも配当金を増やしてほしい」と考えている人もいます。
税金
配当金は税制上「配当所得」になります。そして、配当所得には約20%の税金(所得税15.315%、住民税5%)がかかります。
例えば、「1株あたり10円」の配当金を出す企業の株を1,000株持っていたとします。本来であれば10,000円の配当金を受け取れますが、実際には税金が差し引かれて約8,000円を受け取ることになるのです。
一方、株主優待は「雑所得」になります。雑所得の場合、年間20万円以上でなければ申告の必要がありません。そのため、株主優待は配当金に比べて税金面で得をすることになるのです。
例えば、「1,000円のクオカード」と「1,000円(税引き前)の配当金」を比較すると、雑所得が20万円以下であれば、「1,000円のクオカード」のほうが少しだけお得なのです。
まとめ
- すべての企業が配当金や株主優待を配布しているわけではない。特に、業績の悪い会社や上場したばかりの若い企業は両方とも配布していないことがある。
- 権利付き最終日に株を保有しておけば株主として認められる。そのため、権利付き最終日に株を購入して翌営業日に売却しても、配当金や株主優待を受け取ることができる。
- 配当金の金額は保有している株数に比例する。しかし、株主優待の価値は保有している株数には比例しない。
- 海外への発送や税金に関しても、配当金と株主優待には違いがある。
今回は、配当金や株主優待をもらうときの注意点について解説してきました。特に、まとめの1~3に関しては、しっかり把握しておかないと損をしてしまうかもしれません。最初は難しく感じると思いますが、配当金や株主優待を何度かもらえばすぐに慣れるはずです。