経済ニュースを見ていると頻繁に耳にするのが「日経平均株価」や「TOPIX」などの言葉です。これらの数値が大きく変動したときは、ニュースでも大々的に報じられるので気になっている人も多いはずです。

日経平均株価とTOPIXは、いずれも日本国内の株式市場の動向を把握するための指標です。つまり、「数値が上がれば国内株式の株価が上がっている、数値が下がれば国内株式の株価が下がっている」という指標になるのです。

また、日経平均株価やTOPIXは投資の対象にもなります。つまり、「日経平均株価やTOPIXに投資する」ことが初心者でも簡単にできるのです。

今回は、日経平均株価とTOPIXの成り立ちや特徴について説明していきます。また、これらを投資対象とした「インデックス投資」について解説します。インデックス投資は株初心者や長期投資で資産を形成したい人に適した投資手法です。今回の内容を参考に、あなたもインデックス投資を検討してみましょう。

日経平均株価の意味と特徴

日経平均株価は、日本経済新聞社が東京証券取引所第一部(東証一部)に上場する株式の中から、独自のルールによって選択した225銘柄の株価から算出される株価指数のことです。略して「日経平均」または「日経225」ともいわれます。

あまり知られていませんが、「日経平均株価(日経平均、日経225)」は日本経済新聞社が著作権を保有している登録商標です。また、海外主要国でも「Nikkei Stock Average」で登録されています。

日経225銘柄の選定方法

日経平均に採用されている225銘柄は、毎年10月に入れ替えが行われています。

これらの銘柄は、市場流動性、株式相場の動向への敏感さ、セクター間のバランスなどを考慮して選定されます。セクターとは、企業の業種を「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」の6つに分類したものです。つまり、日本を代表する企業の中から業種の偏りがないようにバランスよく選ばれているのです。

また、日経225銘柄が経営再編や経営破綻した場合などは、新しい銘柄を補充して常に225銘柄が維持されるようになっています。

日経平均株価の算出

選定銘柄の中には、1株約40,000円の銘柄もあれば1株約1,000円の銘柄もあります。そして、株価が大きくなりすぎた会社は、あるとき株式分割をする場合があります。

※ 株式分割:株式の売買を活発にするために、株価を下げて株式流通量を増やすこと。例えば、保有している株式が2分割された場合、株価は1/2になるが株数は2倍になる。

株式分割をすると、その企業の価値は変わらないのに株価だけが1/2や1/3になります。そのため、株式分割後の株価を用いて単純に平均株価を算出すると、価値は変わらないのに平均株価は下がってしまいます。

このような要因があるため、225銘柄の単純な平均株価を算出しても正確な指標にはなりません。そこで、日経平均株価を算出するときはダウ方式(米国ダウ・ジョーンズ社が開発した計算方法)という複雑な計算方法が用いられています(ダウ方式の詳細はここでは省略します)。

ただ、ダウ方式を使っても「値がさ株(株価の高い銘柄のこと)」の影響は受けやすいです。例えば、ファーストリテイリング(銘柄コード:9983)、KDDI(同 9433)、ソフトバンクグループ(同 9984)などは代表的な値がさ株になります。これらの値がさ株は、日経平均株価への「寄与度が大きい銘柄」と表現されます。

特に、日経平均株価はファーストリテイリングの値動きに連動しやすいため、「ユニクロ指数」と揶揄されることもあります。

これまでの日経平均株価の値動き

ダウ方式による日経平均株価は、1950年9月7日から算出されるようになりました。またこのとき、第二次世界大戦後に東京証券取引所が再開した1949年5月16日まで遡って計算されています。1949年5月16日の日経平均株価は「176円21銭」でした。

その後、日本の戦後復興や経済成長とともに日経平均株価は大きく値上がりしました。そして、バブル期の1989年12月29日には最高値38,957.44円を達成しました。

※ 1989年12月29日の終値は38915.87円です。そのため、最高値は38,915円と書かかれている書籍もあります。

ところが、その翌年には2万円を割り、バブル経済は崩壊していきます。その後、ITバブルやアベノミクスの影響で日経平均株価が値上がりするときはありましたが、バブル期の最高値はいまだ更新されていません。

TOPIXの意味と特徴

東証株価指数の英語表記である「Tokyo stock price index」を略してTOPIX(トピックス)といいます。東京証券取引所が営業日に1秒毎に算出している株価指数になります。

日本経済新聞社の日経平均株価と同じように、東京証券取引所もTOPIXを商標登録しています。また、日経平均株価と同様、日本経済の動向を表す株価指数として海外からも注目されています。

TOPIXの算出方法

TOPIXは東証一部に上場しているすべての日本企業(約2,100銘柄)を対象として算出されます。計算式は少し複雑ですが、以下のようになります。

<TOPIXの計算方法>
TOPIX =(全対象銘柄の時価総額の和)÷(基準日の全対象銘柄の時価総額の和)× 100

このとき、時価総額は浮動株を考慮して算出されます。浮動株とは、発行済み株式数のうち大株主(創業者一族など)が保有している固定株を除いた株式のこと(=一般の投資家が日々売買できる株式のこと)です。

したがって、TOPIXを算出するときの時価総額は「株価 × 発行済み株式数 × 浮動株比率」で計算されます。全対象銘柄の時間総額をすべて足し合わせたのち、基準日(1968年1月4日)の時価総額の和で割って100を掛けた値がTOPIXになります。ちなみにTOPIXの単位は「ポイント」です。

現在の時価総額の和が基準日の値と同じなら100ポイント、基準日と比較して時価総額の和が10倍になっていたら1,000ポイントになります。

日経平均株価との比較

TOPIXの最高値は1989年12月18日の2,884ポイントです。日経平均株価が最高値に達した1989年12月29日と少しずれています。このことからも、日経平均株価とTOPIXは異なる指数であることがわかります。ただ、いずれも日本の中心となる企業の株価から算出された指数なので、ある程度同じような推移をたどります。

TOPIXは東証1部のすべての日本企業(約2,100銘柄)の時価総額をもとに算出されます。そのため、225銘柄から算出される日経平均株価よりも市場全体の状況を反映しているといえます。

ただし、日経平均株価が株価の高い「値がさ株」の影響を受けやすいのに対し、TOPIXは発行済み株式数の多い「大型株」の影響を受けやすいです。具体的には、トヨタ自動車(銘柄コード:7203)、NTTドコモ(同 9437)、NTT(同 9432)、ソフトバンクグループ(同 9984)などの大型株の値動きが影響しやすいです。

日経平均株価 TOPIX
対象銘柄 東証一部から選定された225銘柄 東証一部のすべての日本企業
算出方法 ダウ方式を用いて株価の平均値を算出 基準日(1968年1月4日)の時価総額と比較
単位 ポイント
寄与度の大きい銘柄 値がさ株(ファーストリテイリングやソフトバンクグループなど) 大型株(トヨタ自動車やNTTドコモなど)

日経平均株価やTOPIXに投資する「インデックス投資」

冒頭に述べたとおり、日経平均株価やTOPIXなどは投資対象になります。また、海外の株価指数であるダウ平均株価(米国の指数)や上海総合指数(中国の指数)などの指数も投資対象になり得ます。そして、これらの指数に連動した金融商品に投資することをインデックス投資といいます。

インデックス投資には、個別株への投資と比較して「① 企業の不祥事や業績悪化の影響を受けにくい」「② 値動きが安定している」「③ 安く買える」などの特徴があります。

①と②は関連しています。インデックス投資では指数に投資するため、個別企業の業績の影響は受けにくいのです。そのため、大きく値動きすることは少ないです。

また、自己資金が少なくても投資することができます。個別株に投資する場合は通常10万円以上の自己資金が必要になります。ところが、インデックス投資の場合は、自己資金が3万円以下でも購入できる金融商品(ETF)がたくさんあります。具体的にどのようなものがあるか、以下に紹介します。

日経平均株価やTOPIXに連動するETFの紹介

通常、インデックス投資をする場合は投資信託を買う必要があります。一般的な投資信託は株式市場で買うことができませんが、中には株式市場に上場している投資信託があります。そのような投資信託のことをETF(Exchange-Traded Fund:上場投資信託)といいます。

ETFは株式と同じように一つの銘柄として上場しています。売買の仕方や値動きは株式とほぼ同じです。したがって、株初心者でもETFを買うことで簡単にインデックス投資ができるのです。

例えば、日経平均株価の値動きに連動するETFとして「日経225連動型上場投資信託(銘柄コード:1321)」があります。日経平均株価に採用されている225銘柄に投資している投資信託になります。株式市場でこのETFを購入した場合、225社に分散投資をしたことになります。

また、少しギャンブル性の高いETFとして「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(銘柄コード:1570)」があります。このETFは日経平均の変動率と比べて2倍の値動きをします。例えば日経平均が0.5%上昇したら、2倍の1%上昇します。逆に、0.5%減少したら1%減少します。

TOPIXに連動するETFには、「MAXISトピックス上場投信(銘柄コード:1348)」や「JPX日経400ETF(同 1591)」などがあります。

株初心者で銘柄選びに迷うときなどは、このようなETFに投資することを検討してみましょう。ただし、高値で買ってしまうと損をする可能性が高いです。高値掴みを避けるためにも、日々経済ニュースに耳を傾けて「株安」と大々的に報道されているときに買うとよいでしょう。

まとめ

  • 日経平均株価は、日本経済新聞社が東証1部上場銘柄の中から選んだ225銘柄の平均株価のことである。ただし、単純な株価の平均値ではなくダウ方式という計算方法で算出している。
  • TOPIXは東証1部に上場しているすべての日本企業の時価総額から算出されている。そのため、日経平均株価よりも市場全体の状況を反映しているといえる。
  • 日経平均株価は株価の高い「値がさ株」の影響を受けやすい。一方、TOPIXは上場株式数の多い「大型株」の影響を受けやすい。
  • 日経平均株価やTOPIXに連動したETFを購入することで、初心者でも簡単にインデックス投資ができる。

今回は、日経平均株価とTOPIXの特徴について解説してきました。またこれらの指数に連動したETFに投資する「インデックス投資」についても紹介しました。インデックス投資には、個別株への投資にはないメリットがあります。銘柄選びに迷っている株初心者は、インデックス投資にトライしてみるのもよいでしょう。