資産運用に限らず「自己投資」はとても重要です。自ら学んで得た知識は一生の財産になるからです。
また、学んだ内容を実践してうまくいけば、忘れられない成功体験になって学びがさらに加速していきます。資産運用に関する学びであれば、将来の経済的な豊かさに直結するので、なおさら嬉しいと思います。
そこで今回は、自己投資の重要性について述べていきます。また最後に、私がこれまでに学んだ事例を簡単に紹介するので、これから資産運用について学ぼうと考えている人は参考にしてみてください。
自己投資の重要性
自己投資の重要性は昔から説かれています。ここでは、福沢諭吉とウォーレン・バフェットの言葉を紹介したいと思います。
福沢諭吉「学問のすすめ」
福沢諭吉は「学問のすすめ」の中で、「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と述べています。私はこの意味をずっと「人はみな平等である」と解釈していました。しかし、これは間違いでした。
私が以前に受講したセミナー(資産運用ではなく起業関連のセミナーです)で、初めて福沢諭吉の真意を知ったのです。
福沢諭吉は「学問のすすめ」の中で以下のように述べています。
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり。
(中略)
されども今廣く此人間世界を見渡すに 賢き人あり愚かなる人あり 貧しきもあり冨めるもあり 貴人もあり下人もありて、其有様雲と坭との相違あるに似たるは何ぞや。
(中略)
されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。
引用元: 学問のすすめ
これを現代語に訳すと以下のようになります。
「天は人の上に人をつくらない」と言われている。
でも、周りを見渡してみると、賢い人や愚かな人がいる。貧しい人もいればお金持ちもいる。身分の高い人もいれば低い人もいる。雲泥の差が生じているではないか。
この違いは、学んでいるか学んでいないかによるものだ。
これが正しい解釈になります。単に「人はみな平等」と言っているわけではなく、「学ぶ人は賢くなってお金持ちになれる。知識を得るほどに豊かになれるので、人間はみな平等だ。」と述べていたのです。
このように、福沢諭吉は「学び(=自己投資)」の重要性を説いていたのです。
ウォーレン・バフェット「究極の投資先は自分」
次は、世界一の株式投資家であるウォーレン・バフェットの言葉を紹介します。ウォーレン・バフェットは雑誌「Forbes」の取材に以下のように答えています。
- 11歳になる頃には、オマハ公立図書館にある投資関連の本は読破した。
- 私の投資人生にもっとも影響を与えた本は、ベンジャミン・グレアム著「賢明なる投資家」だ。私はこの本を6回くらい読んだだろう。
- 他のどのような投資にも勝る投資は、自分自身への投資だ。
- あなたが自分自身の中に持っているものは誰も奪い取ることができない。あなたが高めた能力は、課税されてなくなることも、インフレによって失われることもない。
このように、ウォーレン・バフェットも自己投資の重要性を説いています。「能力は課税されてなくなることも、インフレによって失われることもない」というあたりは投資家らしい表現だと思います。
税制や特定の金融商品に関する知識はいずれ陳腐化する可能性があります。ただ、本質的な学びはいつまで経っても陳腐化しません。
例えば、「投資先企業の選び方」や「投資信託を利用した資産運用法」などは、何年経っても変わらないでしょう。そのような学びを深めることで、資産運用の力がぐっと身につくはずです。
私の例
最後に私の事例を紹介します。
私は社会人2年目の2006年頃から株式投資を始めました。ちょうどITバブル崩壊から数年が経過して、世界の株式市場が過熱気味だった時期です。
私が最初に勉強したのは、株のテクニカル分析(株価チャートの分析)です。「移動平均線」「ローソク足」「出来高」「一目均衡表」「ボリンジャーバンド」などの用語を覚えながら株取引をしていた記憶があります。
ただ、私自身はこのようなテクニカル分析は性に合っていませんでした。元々理系で理屈っぽい性格の私は、チャート分析どおりに株価が動くことに納得できなかったのです。「なんで株価が25日移動平均線に近づいてきたら反発するの? 意味がわからない」という感じでした。
実際、テクニカル分析にしたがって株の売買を行ってもうまくいかず、再現性の高い方法とはとても思えませんでした。
そして、ちょうどその頃にサブプライムローン問題やリーマン・ショックが発生します。ここでは詳細を省きますが、リーマン・ショックの影響で私も大ダメージを受けてしまいました。
当時の私にとっては耐え難いほどの損失を受けたのですが、当時の経験があったからこそ「大損しないためにはどうすればよいか?」と本気で考えて真面目に勉強するようになりました。
そして、テクニカル分析の勉強をやめて、ファンダメンタル分析(企業の経営状態の分析)の勉強を始めました。また、短期投資から中長期投資へと投資スタイルも変更しました。
さらに、投資信託やその他の投資(海外投資やオプション取引など)についても学びました。最終的に、株式投資と投資信託を深く学ぶことにしましたが、当時はそれなりに幅広く学んでいました。
私が資産運用を学ぶ過程で利用したのは「本」「セミナー」「勉強会」です。以下、それぞれ簡単に紹介します。
書籍での学び
市販されている書籍を中心にさまざまなものを読みました。ただ、ファンダメンタル分析に関しては、どの本にも同じようなことが書かれています。そのため、まずは一冊をしっかりと読み込めばある程度の分析方法は身につきます。いちおうおすすめの書籍を紹介しておきます。
また、投資信託に関しても、初心者向けの本を1~2冊読めばかなり理解が深まります。このとき、投資信託の運用会社に所属している人が書いている本を読むと、その会社の商品に誘導されてしまいます。
したがって、できれば第三者が書いている本を読むとよいでしょう。例えば、竹川美奈子氏の書籍はとてもわかりやすかったです。
セミナーでの学び
証券会社や投資信託の運用会社が開催している無料セミナーによく参加していました。
無料セミナーの場合は、特定の投資信託の特徴やその運用成績の良さをアピールされることが多いです。また、浅い内容しか学べないこともあります。そのため、無料セミナーには「失敗」も付きものです。
ただ、なかにはとても勉強になる無料セミナーもありました。
私が過去に参加した無料セミナーで特に印象に残っているのが、スパークス・アセットマネジメント社の「スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)」に関するセミナーです。
2時間の無料セミナーだったのですが、「厳選投資」の紹介はわずか10分くらいでした。ほぼすべての時間を企業分析の仕方や経済情勢の分析などに費やしてくれました。私としては、無料でとても勉強になった記憶があります。
私は「厳選投資」には投資していないのですが、当時の恩返しの意味も兼ねてここで紹介しておきました。
また、有料セミナーにも何度も参加しました。もっとも勉強になったのは、2日間の合宿セミナーです。それなりの金額がかかるセミナーでしたが、資産運用のみならず経済や金融に関する知識を幅広く習得できたのがよかったです。
また、そのときの講師が経済・金融・資産運用に関してすべて独学で学ばれている人だったので、自分に近いものを感じることができました。
ただ、「有料だったら何でも良い」というわけではありません。3,000円や5,000円程度の中途半端なセミナーの場合は、バックエンド(高額セミナーなど)に勧誘するために内容的にはモヤモヤ感が残ることがあります。
私の場合は「それだったら最初から高額セミナーや商品を紹介してくれ」と思う性格なので、中途半端に安いセミナーにはあまり参加しなくなりました。
このように、セミナーに関してもピンキリです。何度か参加するうちに、自分好みのセミナーを取捨選択できるようになると思います。
勉強会での学び
社会人の頃、資産運用に興味のある後輩と二人で夜な夜な書籍を読み込んでいました。
当時は社員寮に住んでいたので、私の部屋で後輩と二人で勉強会をしていたのです。リーマン・ショックの真っ只中で二人とも大きな損害を受けていた頃だったので、互いに慰め合いながら勉強したことを覚えています。
今では、私は会社を辞めて独立しましたが、彼は経理部に移って活躍しています。当時の勉強が二人の将来に少なからず影響していることを実感します。
まとめ
- 自己投資はとても重要である。福沢諭吉もウォーレン・バフェットもその重要性を説いている。
- 自分の能力は課税されてなくなることも、インフレによって失われることもない。
- さまざまな書籍やセミナーを通じて資産運用の力は身についていく。そして、それは一生の財産になる。
今回は自己投資の重要性について述べてきました。今は学ぶための情報源が溢れているので、さまざまな媒体から学ぶことができます。
このサイトもそのような媒体の一つです。読む人を慮った内容にはまだまだほど遠いですが、あなたの資産運用に少しでも役立っていれば幸いです。