日本は戦後の高度経済成長期を経て経済を大きく発展させました。当時、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国にまで成長したのです。

ところが、日本の経済成長はすでに止まっています。さらに、少子高齢化の影響で今後は経済が縮小していく可能性が高いです。今後、日本はこれまでに経験したことのない時代に入っていくのです。

少子高齢化が進行している日本では過去の常識は通用しなくなります。これまで資産運用をしてこなかった人は、「預貯金だけでは資産が目減りする」ということを認識しなければなりません。

そこで今回は、日本経済の推移を振り返りつつ、あなたの資産を守るために必要な考え方を紹介します。これからは、過去の常識にとらわれず積極的に資産運用を行う意識が必要となるのです。

日本の経済は停滞している

まずは下のグラフを見てください。これは日本の名目成長率の推移をグラフ化したものです。

※ 名目成長率:国内総生産(GDP)の成長率を物価変動の影響も含めて算出した値(物価が上がれば名目成長率も上がる)。ちなみに、物価の影響を除いたものを実質成長率という。

名目成長率の推移

内閣府HP記載のデータからグラフ作成

1945年に終戦を迎えた日本は、1954年~1973年頃の高度経済成長によって経済大国の仲間入りを果たしました。グラフからも、この期間の成長率が高いことがわかります。

その後、日本は安定成長期と呼ばれる時代に入りました。高度経済成長期ほど経済は発展していませんが、緩やかに成長した時代です。

ところが、1991年のバブル崩壊を機に日本の経済成長は鈍化します。「失われた20年」と呼ばれる時代に入っていくのです。さらに、2008年と2009年にはリーマン・ショックの影響を受けて、経済は後退しました。

その後、2012年末から始まった第二次安倍政権による経済政策「アベノミクス」が実施されました。これにより、日経平均株価は上昇に転じました。2012年末に約10,400円だった日経平均株価はその後5年間で22,000円以上に上昇したのです。

ところが、グラフを見てわかるとおり、経済成長率はそれほど上がっていません。日経平均株価は上がっても経済はあまり成長していなかったのです。これにはさまざまな要因が考えられますが、その一つに「少子高齢化」があります。人口と経済の発展には密接な関係があるからです。

超高齢社会を迎える日本では経済が縮小する

上述のとおり、人口と経済の発展には密接な関係にあります。なぜなら、人口が増えれば、必然的に人々の消費活動や生産活動が活発になるからです。つまり、人口が増える国の経済は発展しやすく、人口が減る国の経済は衰退する傾向にあるのです。

日本は少子高齢化の影響で人口が増えるどころか減っていきます。国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口は2053年に1億人を割って9,900万人になると予測されています。そして、65歳以上の高齢者は全人口の38%に達します。

※ 国立社会保障・人口問題研究所では、出生率と死亡率についてさまざまなケースを想定して予測値を算出しています。上記は中間的な値になります。

この予測は大きく外れることはないでしょう。そして、日本はこれから超高齢社会を迎えることになるのです。厳密にいうと、すでに超高齢社会になっていますが、ますます進行することになります。

そして、人口が減ることにより、日本経済はしだいに縮小していくことが容易に想像できるのです。

預貯金だけでは資産が目減りする

超高齢社会は、日本経済だけでなく私たちの資産にも影響を及ぼします。特に、資産を現金や預貯金の形だけで保有している人は大きな影響を受けます。そして、気づかぬうちに資産が目減りすることになるのです。

その理由は国の政策にあります。政府は日本をインフレ(インフレーション)に誘導しています。インフレとはお金の価値が下がること(=物価が上がること)です。

日本は現在1,000兆円を超える借金を抱えています。この借金問題を解決する手段の一つがインフレ政策なのです。お金の価値を下げることによって、借金の価値を下げようとしているのです。

お金の価値が下がると物価が上がります。今まで500円程度で食べていた吉野家の牛丼が1,000円に値上がりするかもしれません。お金の価値が半分になると、物価は2倍になるからです。

そして、お金の価値が下がると預貯金の価値も下がります。仮にいま100万円の預金があったとします。インフレが起こらなければ牛丼を2,000杯食べることができます。しかし、インフレが起こって牛丼が1,000円に値上がりすると1,000杯しか食べられません。100万円の預金額は変わりませんが、その価値が下がったのです。

これは極端な例ですが、インフレになると預貯金の価値が下がることは間違いありません。これまでと同じようにお金を貯めているだけでは、資産が目減りしていくことになるのです。

時代の変化を受け入れ、新しいことに挑戦することが大切

あなたの資産を守るためには、現金や預貯金以外の形で資産を保有しておく必要があります。つまり、資産運用を行う必要があるのです。

例えば、外貨建ての有価証券や金を保有しておくだけで、インフレの影響は回避できます。それどころか資産を大きく増やせる可能性もあります。

しかし、これまで預貯金しかしてこなかった人は「資産運用」という言葉に抵抗があるはずです。これまでと同じように預貯金だけを保有しておきたいと思うかもしれません。

ただ、上述のとおり、日本は今後これまでに経験したことのない時代に入っていきます。今までの延長線上では痛い目にあう可能性が高いのです。これからは時代の変化を受け入れ、新しいことに挑戦することがとても大切なのです。

私も昔は預貯金だけしかしていませんでした。しかし、将来のことを考えて2006年頃から資産運用を始めました。リーマン・ショックの影響でかなり大きな損失を抱えましたが、その後も継続することで着実に資産を増やすことができました。そして今では、海外の有価証券やプラチナなどさまざまな金融商品に投資するようになりました。

もちろん資産運用には損をするリスクがあります。ただ、リスクをコントロールすることは可能です。つまり、大きな損失を回避することは十分に可能なのです。

預貯金のままでも資産が目減りするのであれば、リスクをコントロールしながら資産運用をすることを強くおススメします。場合によっては資産を大きく増やせる可能性もあります。

過去の延長線上でなんとかなる時代は終わりを告げています。今後は過去にとらわれず、自分で考えて行動する勇気が必要になるのです。あなたの資産を守るためにも、資産運用を始めるための一歩を踏み出してみてください。

最後に、イギリスの自然科学者「ダーウィン」の言葉を紹介します。

もっとも強い者が生き残るのではなく、もっとも賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である。(チャールズ・ダーウィン)

まとめ

  • 少子高齢化の影響で、今後日本の経済はますます縮小していく。
  • これまでと同じように、預貯金をしているだけでは資産を守ることはできない。資産を守るためには、預貯金以外の形で資産を保有する必要がある。
  • 時代の変化を受け入れ、新しいことに挑戦する勇気が必要である。

今回は日本経済の推移を振り返りながら、今後の日本の状況を推察しました。

人間は変化を嫌う生き物です。しかし、ダーウィンがいう通り、変化しないと生き残ることはできない時代に突入しようとしています。あなたの資産を守るためにも、資産運用を始めてみませんか?