日本人に人気の金融商品の一つに「毎月分配型」の投資信託があります。資産運用をしつつ、毎月ある程度のお金をもらえることが人気の要因です。

しかし、「資産を増やす」という目的がある場合、毎月分配型の投資信託はあまり良い金融商品とはいえません。一方、資産を増やすことを重視していない人にとってはメリットもあります。

そこで今回は、毎月分配型投資信託の特徴について詳しく解説していきます。この特徴を理解すれば、あなたに適した金融商品かどうか簡単に判断できるようになります。

毎月分配型投資信託とは?

毎月分配型投資信託の話を進める前に、まずは「投資信託」という金融商品について確認しておきましょう。

投資信託の概要

投資信託とは、複数の投資家から集めた莫大な資金をファンドマネジャーと呼ばれる投資のプロが運用する金融商品です。投資家は「ファンドマネジャーにお金を預けて資産運用をお任せしている状態」といえます。

投資信託を購入するときの手数料のほかに、信託報酬(運用をお任せする手数料)が必要になります。このような費用がかかる一方、資産運用をプロに任せられるというメリットがあります。ファンドマネジャーは複数の銘柄を厳選して分散投資をしてくれるのです。

このようなメリットがあるため、投資信託は日本で人気の金融商品となっています。

毎月分配型投資信託の概要

投資信託の中でも特に日本人に人気なのが「毎月分配型」の投資信託です。

その名のとおり、毎月「分配金」という名目で、運用益の一部が投資家に分配されます。簡単にいうと、資産運用をファンドマネジャーにお任せしながら、投資家は毎月お小遣いがもらえるのです。なかには、一ヶ月おきに分配金がもらえる「隔月分配型」の投資信託もありますが、分配金の頻度が異なるだけで投資信託の仕組みは同じです。

分配金の金額は、投資信託の種類や投資した金額によって異なります。また、運用成績の影響を受けるため、受け取る分配金は増減することがあります。

「毎月お金がもらえる」という魅力に惹かれて、この投資信託を購入する高齢者がたくさんいます。特に、定期預金を預けている銀行や郵便局の職員から勧められて購入するケースが多いです。実際、日本で買われている投資信託ランキングを見てみると、毎月分配型投資信託が複数ランクインしています。

ただ上述のとおり、「資産を増やす」という目的がある場合、毎月分配型投資信託は適していません。その理由について述べていきます。

毎月分配型投資信託のデメリット

毎月分配型投資信託には、「複利効果を得られない」というデメリットがあります。さらに運用成績が良くないと、高い確率で元本割れすることになります。以下、詳しく確認していきましょう。

複利効果が得られない

長期にわたる資産運用では、複利効果を活用することがとても大切です。複利とは、投資で得た利益をそのまま次の投資資金として利用することです。投資資金がしだいに増えていくので、得られる利益も徐々に大きくなっていきます。

ところが、毎月分配型の投資信託では利益を分配金として受け取ります。そのため、投資資金はいつまでたっても増えません。結果として得られるリターンが少なくなるのです。以下の例で確認してみましょう。

仮に下記の条件で資産運用を行ったとします。
・投資資金:100万円
・毎月の運用成績:+5%
・毎月の分配金:3万円
・運用期間:3ヶ月

■分配金がない場合■
1ヶ月後の運用結果:100万円 × 1.05 = 105万円
2ヶ月後の運用結果:105万円 × 1.05 = 110.25万円
3ヶ月後の運用結果:110.25万円 × 1.05 = 115.76万円

■分配金がある場合■
1ヶ月後の運用結果:100万 × 1.05 - 3万円 = 102万円
2ヶ月後の運用結果:102万円 × 1.05 - 3万円 = 104.1万円
3ヶ月後の運用結果:104.1万円 × 1.05 - 3万円 = 106.3万円

分配金として得られるお金:3万円×3 = 9万円
トータルで得られるお金:106.3万円 + 9万円 = 115.3万円

分配金がない場合は、3ヶ月後に115.76万円を受け取ります。一方、分配金がある場合、3ヶ月後に106.3万円を受け取ります。それまでに受け取った分配金(9万円)を合計しても、トータルは115.3万円です。分配金がない場合と比べて約4,600円少ないのです。この差額は運用期間が延びるともっと大きくなります。

このように、毎月分配金を受け取っていると複利効果が得られないため、最終的に受け取る金額が少なくなるのです。

元本割れする可能性が高い

上記の例は運用成績がかなり良かったので元本割れをしていません。ただ、実際は毎月運用がうまくいくとは限りません。

そして運用成績が悪いときは、元本を切り崩して分配金が支払われることになります。つまり、毎月受け取る分配金は運用益ではなく、自分が支払ったお金なのです。

この場合、複利の逆パターンで投資資金がどんどん減っていきます。そのため、運用で得られる利益も少なくなり、最終的に元本割れした資金が返ってくるのです。以下の例で確認してみましょう。

仮に下記の条件で資産運用を行ったとします。
・投資資金:100万円
・毎月の運用成績:+1%(←これでも運用成績は良いほうです)
・毎月の分配金:3万円
・運用期間:3ヶ月

1ヶ月後の運用結果:100万円 × 1.01 - 3万円 = 98万円
2ヶ月後の運用結果:98万円 × 1.01 - 3万円 = 95.98万円
3か月後の運用結果:95.98万円 × 1.01 - 3万円 = 93.94万円(元本割れ)

分配金として得られるお金:3万円 × 3 = 9万円
トータルで得られるお金:93.94万円 + 9万円 = 102.94万円

投資した100万円は3ヶ月後に元本割れして93.94万円になって返ってきます。ただ、それまでに受け取った分配金(9万円)を合計すると102.94万円になるので問題ないと考える人がいるかもしれません。

しかし、実際にはここから販売手数料や信託報酬が差し引かれます。信託報酬は運用成績がどんなに悪くても必ず支払わなくてはなりません。これらの費用を差し引くとマイナスになることもあります。

このように、複利効果が得にくく、元本を切り崩す可能性が高いことから、毎月分配型の投資信託では資産を増やすことはできないのです。

毎月分配型の投資信託にもわずかなメリットがある

ここまで毎月分配型投資信託のデメリットを述べてきました。しかし、この投資信託にもわずかながらメリットがあります。

高齢者の中には、自分の生活費のために貯金を切り崩すことに抵抗がある人がいます。そのような人は貯金があるにも関わらず、節制した毎日を過ごしています。

毎月分配型投資信託はこのような高齢者にとってメリットがあります。生活費のために貯金を切り崩すのではなく、資産運用としてお金を使うのではあれば抵抗を感じない人がいるからです。そして、毎月得られる分配金を生活費に充てるのです。

公的年金は偶数月(2、4、6、8、10、12月)にしか支給されません。そのため、毎月分配金を受け取ることで、安心感が得られるというメリットもあります。

ただ、ここまで読み進めてきた人にとっては、あまりメリットに感じられないかもしれません。その理由は、毎月分配型投資信託を「資産を増やすための金融商品」と捉えているからです。

そうではなく、毎月分配型投資信託を「資産を使うための金融商品」と捉えてみてください。そうすれば、貯金を切り崩すことに抵抗がある人にとってメリットがあることを理解できるのではないでしょうか?

毎月分配型投資信託を購入する際の注意点

以上のように、毎月分配型投資信託は「資産を増やす」という目的には適していません。そして、実は金融機関もそのことを自覚しています。

このサイトでも繰り返し述べているように、長期運用で資産を増やすためには、ドルコスト平均法(定期的に定額を投資をする方法)を用いた積立投資が適しています。

しかし、毎月分配型投資信託ではこのような積立投資ができません。金融機関も「この投資信託は資産を増やすためのものではない」と自覚しているので、積立投資をできないようにしているのです。

以上を踏まえた上で、それでも毎月分配型投資信託を買いたい人もいるでしょう。その場合は、以下の2つの注意点を必ず守るようにしてください。

営業マンのセールストークを疑う

投資信託を売りたい営業マンは言葉巧みにメリットを述べてきます。「高利回り」であることを強調する営業マンもいます。

ただ、この利回りは「1年間で得られる分配金の合計」を利益として計算していることが多いです。そのため、あまりに利率が高い場合、投資したお金はほぼ確実に元本割れして返ってきます。営業マンが何を指して「高利回り」といっているのか、しっかりと確認する必要があります。

分配金は使ってしまう

上述のとおり、毎月分配型投資信託は「資産を使うための金融商品」と捉えてください。そのため、受け取った分配金は使ってしまいしょう。

なかには、分配金を貯金している人や、分配金を貯めて別の投資信託に再投資する人がいます。これは本当に意味がありません。毎月分配型投資信託のわずかなメリットさえも放棄しているのです。

毎月分配型投資信託はお金を増やすためのものではないので、分配金はすべて使い切るようにしてください。

まとめ

  • 毎月分配型の投資信託には「複利効果を得られない」というデメリットがある。また、投資資金は元本割れして返ってくる可能性が高い。
  • 「資産を増やす」という目的がある場合、毎月分配型の投資信託を買ってはいけない。
  • 生活費のために預貯金を切り崩すことに抵抗がある人は、「資産を使う」ことを目的に毎月分配型投信信託を買うとよい。

今回は、日本人に人気の毎月分配型投資信託について解説してきました。「資産を増やす」という目的がある人は、間違ってもこの投資信託を買わないように気を付けてください。