投資信託を購入するときは、事前に目論見書(投資信託の説明書)を確認しなければなりません。

目論見書には、交付目論見書請求目論見書の2種類があります。このうち、投資信託の購入前に確認しなければならないのは「交付目論見書」です。一方、請求目論見書は「読みたい人が読む」という位置づけのため、ページ数や情報量も多くなっています。

交付目論見書の1ページ目か2ページ目には、下図のような表が掲載されています。この表には投資信託の概要がまとめられているのです。

商品分類と属性区分

※「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」の交付目論見書より抜粋

今回は、交付目論見書に掲載されているこの表の「商品分類」の見方について解説していきます。投資信託の購入を考えている人は今回の内容を把握してから購入を検討してみてください。

「商品分類」で確認できること

今回は、私が子供の将来のために、子供名義で積み立てている「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま)」という投資信託を例に解説していきます。

「雪だるま」の交付目論見書を開くと、1ページ目に下図のような商品分類の表があります。この表の項目を順に確認していきましょう。

「雪だるま」の商品分類

※「雪だるま」の交付目論見書より抜粋

単位型・追加型

「単位型・追加型」の欄では、投資信託の購入期間が制限されているかどうかがわかります。

単位型 投資信託が作られた当初に決められた募集期間しか購入できない
追加型 買いたい人はいつでも購入することができる

通常は追加型の投資信託を買うことになるはずです。雪だるまに関しても「追加型」と記載されていることが確認できます。

投資対象地域

「投資対象地域」の欄には、その投資信託の投資先が記載されています。通常、「国内」「海外」「内外」のいずれかが記載されています。それぞれ以下のような意味があります。

国内 日本国内のみに投資する
海外 日本以外の海外の国々に投資する
内外 日本を含む世界中の国々に投資する

雪だるまの場合は「内外」となっているので、日本を含む世界中の国々が投資対象になっていることがわかります。

投資対象資産(収益の源泉)

「投資対象資産(収益の源泉)」の欄には、何に投資するかが記載されています。通常、「株式」「債券」「不動産投信(REIT)」「その他資産」「資産複合」のいずれかが記載されています。

株式 株式に投資します
債券 債券に投資します
不動産投信(REIT) 不動産を証券化して売買できるようにしたものです。REITを購入することで、間接的に不動産投資を行ったことになります。

また、不動産投資で得られた家賃収入等を分配金として受け取ることができます。

その他資産 株式、債券、不動産投信以外の資産に投資します。具体的には、商品(金・原油など)や先物取引などです。
資産複合 株式、債券、不動産投信、その他資産などを組み合わせて投資します。

雪だるまの場合は「株式」となっています。先程の投資対象地域と合わせて考えると、雪だるまは「日本を含む世界中の株式に投資をする投資信託」であることがわかります。

独立区分

雪だるまには記載されていませんが、「独立区分」という項目が追加されていることもあります。独立区分の欄には、通常、「MMF」「MRF」「ETF」のいずれかが記載されています。

商品分類(独立区分)

MMF 国債や社債などを投資先とした投資信託。

購入後、30日未満までに解約すると、信託財産留保額(解約時の手数料のようなもの)を徴収されるため、MRFより換金性が低い。一方、MRFより利回りは高いため、「銀行の定期預金のようなイメージ」と説明されることが多い。

※ MMFは「Money Management Fund」の略

MRF 国債や社債などを投資先とした投資信託。

MMFより換金性が高いが利回りは低い。MMFとの比較で「銀行の普通預金のようなイメージ」と説明されることが多い。

※ MRFは「Money Reserve Fund」の略

ETF 投資信託を証券取引所で自由に売買できるようにしたもの。投資信託を株式と同じように売買することができる。

※ ETFは「Exchange-Traded Fund」の略

雪だるまはこのいずれにも該当しないため、「独立区分」の項目は記載されていません。

補足分類

補足説明がある場合は、「補足分類」の欄が追加されます。通常、「インデックス型」か「特殊型」のいずれかが記載されています。

インデックス型 何らかの指数(日経平均株価やTOPIXのような指数)に連動するインデックスファンドです。
特殊型 特殊な仕組みや手法で運用される投資信託です。具体的には、「株式の購入」と「先物取引の売り建て」を組み合わせるなど、複雑な運用を行う投資信託が該当します。

雪だるまは「インデックス型」と記載されていることから、何らかの指数に連動して値動きするインデックスファンドであることがわかります。

なお、投資信託の概要をより詳しく把握するためには、「属性区分」の表も確認する必要があります。インデックスファンドの場合は、属性区分の「対象インデックス」の欄に、連動する指数の名称が具体的に記されています。

属性区分

<参考記事>属性区分の確認方法は下記の記事をご覧ください

投資信託の目論見書の見方②:属性区分を確認する

まとめ

「商品分類」の表には以下のような項目が記載されています。

商品分類

「商品分類」の表を確認するだけで、投資信託の概要を把握することができます。ただ、最後に述べたとおり、より詳しく内容を把握するためには、「属性区分」の表も確認する必要があります。

投資の基本は「よくわからないものには投資しない」です。そのため、投資信託を購入するときは、これらの項目をしっかりと理解した上で購入することをおすすめします。