投資信託を購入するときは、事前に交付目論見書(投資信託の説明書)を確認しなければなりません。
※ 投資信託を購入する前に確認しなければならないのは「交付目論見書」です。
交付目論見書の1ページ目か2ページ目には、下図のように、「商品分類」「属性区分」という名前の表が掲載されています。これらの表を確認するだけでも、投資信託の概要を把握することができます。
そこで今回は、交付目論見書に掲載されている「属性区分」の見方について解説していきます。投資信託の購入を検討している人は今回の内容を把握してから投資先を選ぶようにしてください。
属性区分とは
交付目論見書に掲載されている「属性区分」という表は、「商品分類」をより詳しく説明したものです。そのため、大雑把に概要を把握したいときは、商品分類の部分を見るだけでも構いません。
属性区分で確認できること
今回は、私が子供の将来のために、子供名義で積み立てている「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま)」という投資信託を例に解説していきます。
「雪だるま」の交付目論見書を開くと、1ページ目に下図のような属性区分の表が掲載されています。この表に記載されている項目を順に確認していきましょう。
投資対象資産
「投資対象資産」の欄には、投資信託に預けたお金が何に投資されるかが記載されています。通常は、「株式一般」や「債券一般」のように記載されるのですが、最近は「その他資産」と表記されているものが増えているように思います。
「その他資産」は、“直接”株式や債券に投資しないことを意味します。この場合、ファミリーファンドやファンド・オブ・ファンズのような形式で、別の投資信託を介して間接的に株式や債券に投資されることが多いです。
そのため、投資対象資産が「その他資産」になっている場合は、後述する「投資形態」の項目が「ファミリーファンド」や「ファンド・オブ・ファンズ」になっている場合がほとんどです。
雪だるまの場合は「その他資産(投資信託証券(株式一般))」と記載されています。これは、株式に直接投資せずに、「一般株式に投資する投資信託」に投資するという意味です。実際、雪だるまの投資形態は「ファミリーファンド」になっていることが確認できます。
決算頻度
決算とは、投資信託が保有している資産や負債を計算して財務状況を明らかにすることです。決算の結果、収益があった場合はその一部が分配金(株式投資の配当金のようなもの)として投資家に配分されます。
会社の決算は四半期決算も含めると年に4回ありますが、投資信託の決算は投資信託によって回数が異なります。年に1回だけの投資信託もあれば、毎日決算が行われている投資信託もあるのです。
なお、以前に日本で大流行した毎月分配型の投資信託(毎月分配金が得られる投資信託)は、毎月決算が行われていました。
雪だるまの場合は「年1回」と記載されているので、決算の頻度は年1回だけということがわかります。
投資対象地域
「投資対象地域」の欄には、その投資信託の投資先の地域が記載されています。
商品分類の表には、「国内」「海外」「内外(日本を含む世界中の国々)」のいずれかしか記載されていませんが、属性区分の表には、「北米」や「アジア」のように、より具体的な地域が記載されています。
なお、この欄に「エマージング」と記載されている場合は、中東や東南アジアなどの新興国全般が投資対象になります(Emerging は「新興の」という意味です)。
雪だるまの場合は、「グローバル(日本を含む)」と記載されているので、日本を含む世界中の国々が投資対象であることがわかります。
投資形態
”直接”株式や債券に投資されない場合は、「投資形態」の欄に「ファミリーファンド」あるいは「ファンド・オブ・ファンズ」と記載されます。この場合、投資信託に集められたお金は別の投資信託を介して、間接的に株式や債券に投資されることになります。
雪だるまの場合は、「ファミリーファンド」と記載されています。ファミリーファンドは同じ運用会社が運用する別の投資信託に投資されることを意味します(だから「ファミリー」なのです)。
雪だるまは「SBIアセットマネジメント」という会社が運用している投資信託なので、実際には同社が運用する別の投資信託に投資されることになります。なお、具体的にどのような投資信託に投資されるかは、交付目論見書を読み込まなければわかりません。
為替ヘッジ
海外の株式や債券に投資する場合は、為替の影響を受けます。具体的には、運用中に円高になると損をし、円安になると利益が上乗せされます。このような為替変動の影響を受けないようにするのが「為替ヘッジ」です。
「為替ヘッジあり」であれば、海外の資産に投資をした場合でも為替の影響を受けません。逆に、「為替ヘッジなし」の場合は為替の影響を受けることになります。つまり、株や債券の運用成績だけでなく為替の影響で投資信託の価格が上下することになるのです。
雪だるまの場合は、「為替ヘッジ」の欄は「無し」と記載されているので、為替変動の影響を受けることになります。
対象インデックス
インデックスファンド(日経平均株価などの株価指数に連動する投資信託)の場合は、どのような指数に連動するかが記載されています。
国内株式に投資するインデックスファンドであれば、「日経225」や「TOPIX」などの指数が記載されています。
また、海外株式に投資するインデックスファンドであれば、「MSCIコクサイ・インデックス(日本を除く先進国の株価指数)」や「MSCIエマージング・マーケット・インデックス(新興国の株価指数)」などの指数が記載されています。
雪だるまの場合は、「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」と記載されています。これは、イギリスのFTSE社が開発した株価指数で、日本を含む先進国および新興国の株式(約8,000銘柄)を対象とした株価指数です。
つまり、雪だるまは世界中の約8,000社の株価と連動した値動きをすることになります。いいかえると、雪だるまに投資することにより、世界中の約8,000社に(ごく少額ずつ)投資したことになるのです。
特殊型
雪だるまには記載されていませんが、「特殊型」という項目が追加されていることもあります。特殊な仕組みや手法で運用される投資信託の場合、「特殊型」の欄にその様式が記載されます。
具体的には「ブル・ベア型(指数の2倍や3倍の値動きをするインデックスファンド)」や「絶対収益追求型(相場環境に関係なく常にプラスのリターンを目指す投資信託)」などです。
ただ、多くの場合、特殊型の欄だけを見てもその内容を把握することはできません。そのため、実際には交付目論見書の中身を読み込んでその特徴を把握することになります。
実際、私も「絶対収益追求型」と記載された投資信託に投資していますが、その内容は交付目論見書を読み込まなければ把握できませんでした。
まとめ
「属性区分」の表には以下のような項目が記載されています。
「商品分類」の表に加えて、「属性区分」を確認することで、投資信託の概要を理解することができます。そのため、投資信託の購入を検討する場合は、まずは「商品分類」と「属性区分」の表から確認するようにしましょう。
ただ、投資信託の内容をより深く理解するために交付目論見書を読み込む必要があります。このように、商品分類や属性区分だけでは投資信託の中身を完全に把握できないことも覚えておいてください。