世の中には投資の対象となるものが溢れています。株、債券、不動産、金・銀・プラチナ、FX、仮想通貨、コモディティ(原油やトウモロコシなどの商品)など、数え上げればキリがありません。

ただ、「資産」の意味を理解すれば、投資対象となるのは「株」「債券」「不動産」の3つだけであることがわかります。私は投資信託も保有していますが、基本的にはこの3つを投資対象としている投資信託を買うようにしています。

そこで今回は、「資産の意味」と「投資対象が株・債券・不動産の3つだけである理由」について述べていきます。資産運用を行うときは、今回紹介する原理原則を理解しておいてください。

資産の意味

多くの人は持ち家や車を資産と考えがちです。実際、私も25歳くらいの頃まではそのように考えていました。しかし、これらは資産ではなく負債になります。

それでは、「資産」と「負債」の違いは何でしょうか? 

昔から多くの人に読まれている著書「金持ち父さん貧乏父さん(ロバート・キヨサキ著)」にその答えが記載されています。この本の中で、「金持ち父さん」は以下のように述べています。

資産は私のポケットにお金を入れてくれる
負債は私のポケットからお金をとっていく

引用元: ロバート・キヨサキ著「金持ち父さん貧乏父さん」

私は25歳くらいの頃にこの本に出会いましたが、この考え方には衝撃を受けました。それまでの私は「貧乏父さん」とまったく同じ考え方をしていたため、資産と負債の区別すらついていなかったのです。

持ち家や車を保有していると半強制的に税金(固定資産税や自動車税)を取られます。また、火災保険や自動車保険にも加入しなければなりません。

つまり、金持ち父さんの考えにしたがうと、持ち家や車は負債になるのです。ただ、家や車を人に貸し出して家賃やレンタル料をもらうようにすれば、資産に変わります。

この「資産と負債」の考え方は、資産運用をしている多くの人々に受け入れられています。そして、資産運用とは「資産を買って保有すること」なので、投資対象が資産(お金を生み出すもの)かどうかを考えることがとても重要なのです。

資産運用の投資対象は3つ:株、債券、不動産

冒頭に述べたとおり、資産(お金を生み出すもの)は株、債券、不動産だけです。それ以外のものはお金を生み出さないので、基本的には投資対象になりません。

以下、各金融資産の特徴を簡単にまとめます。

株の意味を正確に理解している人は少ないです。株の本来の意味は「会社の所有権」です。つまり、株主は会社のオーナーなのです。

実際、株主になると会社から「株主総会における議決権」が与えられます。つまり、株主は会社の経営方針などに対して賛否を表明することができるのです。特に、多くの株を保有している大株主であれば、経営に対して自分の意見を強く主張することができます。

このように、「株=会社の所有権」であることを理解しておきましょう。

そして、会社が得た純利益(人件費や税金などを差し引いたあとの利益)はすべてオーナーである株主のものになります。このように、株を保有しているだけで会社がお金を生み出してくれるため、「株=資産」と考えることができるのです。

債券

債券とは、お金を貸したときに発行される「借用証書」のことです。

債券には、会社が発行する「社債」と国が発行する「国債」がありますが、いずれの債券を購入しても必ず利子を受け取ることができます。また、満期まで保有すれば、会社や国が潰れない限り元本が返金されます。

このように、債券は保有しているだけでお金(利子)を生み出してくれます。そのため、「債券=資産」と考えることができるのです。

ちなみに私は債券を直接購入したことがありません。債券は流動性(換金のしやすさ)が少し低いため、より流動性の高い投資信託を介して債券投資を行うようにしています。

不動産

不動産(土地や建物)を人に貸し出せば、不動産収入が得られます。土地や家を借りた人がお金を生み出してくれるため、「不動産=資産」になります。

ただ、不動産は株や債券とはさまざまな点で異なります。もっとも大きな違いは「購入したあと」です。

株や債券(投資信託)であれば、業績や運用成績を定期的に確認するだけで構いません。ところが、不動産にはどうしても「経営」の観点が必要になります。家賃やリフォームのことなどを自分で考えなければならないのです。また、購入するために必要な金額も株や債券より大きくなります。

このようなハードルがあるため、私自身は不動産投資を行っていません。私は株と投資信託だけで十分だと考えているので、今後も不動産投資を行うことはないと思います。

金・銀・プラチナ

金・銀・プラチナを保有していても誰もお金を生み出してくれません。また、債券のように利子が付くわけでもありません。したがって、金・銀・プラチナは資産ではないのです。そのため、基本的にはこれらの鉱物を投資対象に考える必要はありません。

ただ、金・銀・プラチナは「金融ショックのときに値上がりする」というおもしろい特徴があります。実際、リーマン・ショックの頃を振り返ってみると、他の金融資産が軒並み下落する中、金・銀・プラチナはすべて値上がりしていました。

そのため、「金融ショックに備えた保険」という目的であれば、これらの鉱物を保有してもよいでしょう。実際、私もプラチナを保有しています。なお、私がプラチナを選んだ理由は「リーマン・ショックのときに、金や銀よりも大きく値上がりしていたから」です。

FX(外国為替証拠金取引)

為替の変動を予測して通貨の売買を行うことで利益を得るのがFXです。価値を生み出す資産に投資をしているわけではなく、タイミングを見計らって売買するだけなので、資産運用ではなく投機になります。

そのため、FXを利用して資産運用をしてはいけません。実際、私もFXは行っていません。

ただ、スワップポイント(通貨間の金利差で得られる利益)を得ることを目的に長期投資をするのであれば、債券投資をしていることと同じなので資産運用に該当します。

仮想通貨およびコモディティ

「ビットコイン」「イーサリアム」「NEM」など数多くの仮想通貨が作られていますが、これらを保有してもお金が生み出されるわけではありません。トウモロコシや原油などのコモディティ(商品)も消費されて終わりです。

これらはただ単に上下に値動きしているだけです。その値動きのタイミングを見計らって売買することになるので、FXと同じく投機に該当します。スワップポイントのような利益も得られないため、仮想通貨やコモディティは無視して構いません。

まとめ

  • 資産とは「新しくお金を生み出すもの」である。その観点で考えると、資産運用の投資対象は、株・債券・不動産の3つだけである。
  • 金・銀・プラチナやFXは基本的には資産に該当しない。ただ、「金融ショックに備えた保険」や「スワップポイントによる利益」が目的であれば、これらに投資しても構わない。
  • 仮想通貨やコモディティに投資してはいけない。

今回は、資産の意味や資産運用をするときの投資対象について述べてきました。今回述べた内容は資産運用を行う上での原理原則になります。ただ、この原理原則を知らずに仮想通貨やFXに大金を投じている人もいます。

仮想通貨に投資をして大きな利益を得られたとしても、それはたまたま運が良かっただけです。資産運用の本質は、株、債券、不動産です。これらの中から、自分に適した投資対象を選ぶようにしましょう。