株主優待をほぼ無料で入手できる方法として「つなぎ売り(クロス取引)」があります。株式の売買手数料を負担する必要はありますが、それだけで株主優待を取得できるため、主婦や学生などにとても人気のある手法です。
また、数ある証券会社の中でも、つなぎ売りを行う人に特におススメなのがSBI証券です。実際、私自身もSBI証券を使って、毎月株主優待をお得に入手しています。
そこで今回は、「つなぎ売りの概要とSBI証券の特徴」について復習した後、「SBI証券を使って株主優待銘柄を探す方法」について詳しく解説していきます。あなたもSBI証券を使ってお得に株主優待を入手してみましょう。
つなぎ売りの概要とSBI証券の特徴
つなぎ売りとは、現物買い(現金による株の購入)と空売り(証券会社から株を借りて売ること)を組み合わせることです。
これらを組み合わせることにより、株価の値下がりで損をしてしまうリスクを完全に回避することができます。つまり、ノーリスクで株主優待だけを入手することができるのです。
冒頭に述べたとおり、つなぎ売りをする人に特におススメの証券会社がSBI証券です。その理由は、SBI証券には「一般信用取引で空売りができる(一般信用売りができる)」「株の売買手数料が安い」という2つのメリットがあるからです。特に、株取引に慣れていな初心者にとって前者は大きなメリットとなります。そこで、まずは「一般信用売り」の特徴を理解しておきましょう。
「制度信用売り」と「一般信用売り」の違い
空売りをするときは、「制度信用取引」あるいは「一般信用取引」を選ぶ必要があります。ここではこれらの違いについて細かい説明は省きますが、空売りでは一般信用取引を使った方がリスクが低いです。
なぜなら、制度信用取引で空売り(制度信用売り)をすると、逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生するリスクがあるからです。逆日歩は、空売りをする人が増えたときに発生する追加の手数料です。
逆日歩の怖いところは、「いつ」「どれくらいの金額」が発生するかはっきりわからないことです。そのため、逆日歩が発生すると「株主優待はもらえたけど、かなりの手数料を支払った。トータルでは損したかも。。」という状況にもなり得るのです。
もちろん株取引に慣れてくると、ある程度は逆日歩発生リスクを予測できます。ただ、それでもはっきりわかるわけではありません。初心者にとっては予測することも難しいでしょう。
一方、一般信用売りであれば、制度信用売りと仕組みが異なるため、逆日歩が発生することはありません。株取引に慣れていない初心者でも安心して空売りすることができるのです。これが、一般信用売りの最大のメリットです。
ただ、一般信用売りにもデメリットがあります。最大のデメリットは「一般信用取引で空売りできる証券会社が少ない」ということです。数あるネット証券の中でも、一般信用売りができる証券会社は、SBI証券、楽天証券、カブドットコム証券、松井証券など数社に限られてしまうのです。
また、一般信用売りができる銘柄は、証券会社が定めた基準を満たしたものに限られます。例えば、学生に人気のシダックス(銘柄コード:4837)という銘柄では、一般信用売りはできません(制度信用売りは可能です)。
このように、一般信用売りにはいくつかのデメリットがあります。ただ、逆日歩が発生して損をしてしまうリスクがないため、私がつなぎ売りをするときも基本的には「一般信用売り」を使うようにしています。
制度信用売り | 一般信用売り | |
---|---|---|
逆日歩が発生するリスク | ある | ない |
対応している証券会社 | 多い | 少ない |
対象銘柄 | 多い | 少ない |
SBI証券は一般信用売りができる証券会社の中でも手数料が安いです。そのため、つなぎ売りでお得に株主優待を入手したい人にとってはおススメの証券会社になります。
SBI証券でお得な株主優待銘柄を探す方法
ここからは、SBI証券を使って株主優待銘柄を探す具体的手順を解説していきます。なお、銘柄探しは遅くとも、権利付き最終日の数日前には終わらせておきましょう。
それでは具体的な手順を解説していきます。
ポートフォリオの作成
SBI証券にログインしたら、まずは下記の手順に沿ってポートフォリオを作成します。この場合のポートフォリオは「パソコンのフォルダのようなもの」と認識してください。
この後、「①良さそうな銘柄があったらこのポートフォリオの中にどんどん入れる → ②ポートフォリオの中からつなぎ売りを行う銘柄を選抜する → ③つなぎ売りを行う」という流れになります。この記事では①の手順について詳しく解説していきます。
株主優待銘柄の絞り込み
ポートフォリオを作ったら、トップページに戻って左側にある「株主優待」をクリックします。
次の画面では、左の欄を使って条件を絞り込むことができます。例えば、3月の株主優待銘柄を探す場合は「3月」をクリックします。また、「つなぎ売り」の欄では、上述のとおり、「一般売り」を選びます。
逆日歩の発生リスクがあるため、基本的に「制度売り」はクリックしません。上記のシダックスのように、「制度信用売りしかできない銘柄の中に、どうしてもほしい株主優待がある。」という場合だけ、「制度売り」をクリックするようにしましょう。
下図のように、「3月」「一般売り」の条件で絞り込むと312銘柄になりました。ここから、さらに絞り込みたいときは、「優待内容」や「優待獲得に必要な金額」などの条件を設定してください。
また、画面の上部にある並べ替え機能を使うと便利です。私はいつも「獲得最低金額順」に並べ替えて使っているので、今回も獲得最低金額順に並べ替えておきます。
売建受注枠の確認
獲得最低金額順に並べ替えたら、各銘柄の「売建受注枠」を確認していきます。上述のとおり、一般信用売りは「証券会社から株を借りて売る」という取引方法です。そのため、一般信用売りをする人が多すぎると証券会社の株がなくなり、空売りができなくなってしまいます。したがって、まずは売建受注枠に余裕があるか確認します。
上記の小林洋行(銘柄コード:8742)という銘柄の売建受注枠は以下のようになっていました。売建受注枠の欄が「× 受付不可」となっています。そのため、この銘柄に対して一般信用売りをすることはできません。
制度信用売りであれば、受注枠がなくなることはありません。ただ繰り返し述べているとおり、逆日歩発生リスクがあるため、初心者のうちは一般信用売りの受注枠がない銘柄はつなぎ売りの対象外としましょう。
株主優待内容の確認 & お得感を判断するための2つの基準
獲得最低金額の順に上から確認していくと、今回、明星工業(銘柄コード:1976)という銘柄で受注枠に余裕がありました。そこで、「優待情報の詳細を見る」をクリックして、株主優待の内容を確認します。
優待情報の詳細画面は以下のようになります。ここでは、念のため権利付き最終日を確認しておきましょう。この例では、権利付き最終日(次回)は2018/03/27となっています。つまり、3月27日に現物株を保有しておく必要があります。
また、株主優待の内容もしっかりと確認しましょう。明星工業の場合、100株保有しておけば、1,000円分のJCBギフトカードがもらえます。株価は721円なので、必要となる現金は72,100円+手数料です。
さて、ここで質問です。この株主優待はお得でしょうか?
つなぎ売りでは、「現物買い」と「空売り」の両方の売買手数料がかかります。そのため、ある程度株主優待の価値が高くないと損をしてしまいます。ただ、いちいち手数料を計算するのは面倒なので、私は以下のような2つの基準を設定しています。
- 基準①:株主優待の価値が2,000円以上
- 基準②:株主優待の価値が、購入価格(今回のケースだと72,100円)の1%以上
これらの両方を満たせば「お得」、片方のみ満たせば「まあまあお得」と判断しています。
今回のケースでは②のみを満たすので、「まあまあお得」となります。実際、この株主優待を得るためにつなぎ売りをした場合、100円~200円程度の手数料を支払って1,000円分のJCBギフトカードを入手することになるでしょう。手間などを考えると、あまりお得とはいえないと思います。
優待内容が気に入ったら、「ポートフォリオへ追加」をクリックし、先ほど作ったポートフォリオに入れておきます。
ここまでの手順を機械的に繰り返して、「お得」あるいは「まあまあお得」な銘柄をポートフォリオの中に入れていくとよいでしょう。今回、私が実施してみたところ、全部で41個の銘柄がポートフォリオに入りました(「ゴルフ場利用割引券」のように、自分が使わない株主優待は対象外としています)。
3月と9月を株主優待の権利確定月に設定している会社が多いため、このように多くの銘柄を選ぶことができました。この後、ポートフォリオ内の銘柄をある程度吟味してからつなぎ売りをしていくとよいでしょう。
私は2018年3月に全部で19銘柄のつなぎ売りを実施しました。クオカードや東京ディズニーランド(もしくは東京ディズニーシー)の1dayパスポートなどをもらう予定です。
まとめ
- SBI証券には「一般信用売りができる」「手数料が安い」という特徴がある。そのため、つなぎ売りをしたい人にもっともおススメの証券会社である。
- 「株主優待の価値が2,000円以上」「株主優待の価値が、株購入価格の1%以上」の両方を満たせば、お得な株主優待といえる。
今回は、「つなぎ売りにおけるSBI証券の魅力」と「お得な株主優待銘柄を探す手順」について解説してきました。この手順に沿って銘柄を選んでいけば、お得な株主優待銘柄を簡単に探せるはずです。あなたもぜひトライしてみてください。