投資信託は「投資の専門家にお金を預けて運用を任せることができる金融商品」です。優良な投資信託を買えば、完全放置で資産を増やすことができるため、将来の資産形成を考えている人の中には投資信託を買っている人もたくさんいます。

ただ、なんでもかんでも専門家任せにしていてはいけません。少なくとも、投資信託を選ぶときはしっかりと自分で選ばなければなりません。その際、投資信託の主な組み入れ銘柄(主な投資先企業)を確認することはとても重要です。

そこで今回は、組み入れ銘柄を確認することの重要性について述べていきます。自分の希望に合った運用を行ってくれる投資信託を選ぶためにも、購入前には必ず組み入れ銘柄を確認するようにしましょう。

投資信託の組み入れ銘柄を確認したほうがよい理由

冒頭に述べたとおり、投資信託を選ぶときは主な組み入れ銘柄(投資先の企業)を確認したほうがよいです。なぜなら、組み入れ銘柄を確認することで、あなたが希望する運用が行われるかを事前に把握することができるからです。

少しわかりにくいと思うので、ロボティクス株式ファンドを例に説明を進めていきます。

ロボティクス株式ファンドの例

ロボティクス株式ファンドとは、AI(人工知能)やロボットに関連した企業を投資対象とした投資信託のことです。

AI技術の進歩が著しいことから、2016年以降、ロボティクス株式ファンドがたくさん作られました。実際、AIの可能性に注目している個人投資家は多いので、多くの人がロボティクス株式ファンドに投資しています(※ 私は投資していません)。

では、「ロボティクス株式ファンド」と聞いて、あなたはどのような企業をイメージするでしょうか?

「革新的な技術を有するベンチャー企業」でしょうか? それとも、「情報技術関連の大企業」でしょうか?

答えはどちらでも構いません。それよりも、あなたがイメージしている通りの企業に投資されているかどうかを確認することが重要なのです。

例えば、ジャパン・ロボティクス株式ファンドという投資信託の組入上位10銘柄を確認してみると以下のようになっています。

ジャパン・ロボティクス株式ファンドの組入上位10銘柄

※「ジャパン・ロボティクス株式ファンド」の交付目論見書より抜粋

いかがでしょうか? ジャパン・ロボティクス株式ファンドは、あなたがイメージするロボット関連企業に投資しているでしょうか? 

この組入上位10銘柄を見ると、「大企業が中心で、ベンチャー企業は含まれていない」「ロボット専業ではなく、事業の一部としてロボットの開発をしている会社が多い」などの感想を抱くと思います。

もしあなたが、「ロボット事業を行うベンチャー企業に投資して大きな利益を狙いたい」と考えているのであれば、この投資信託はあなたの希望に合わない可能性があります。一方、「大きな利益は追求せずに、安定感のある大企業を通じてロボット事業に投資したい」と考えている場合は、この投資信託が適しているかもしれません。

このように、投資信託の組み入れ銘柄を確認することで、自分の希望に合った投資先に投資されているかを把握することができるのです。

組み入れ銘柄の確認方法

投資信託の組み入れ銘柄は交付目論見書運用報告書(全体版)で確認することができます。

通常、交付目論見書には組み入れ上位10銘柄が記載されています。また、運用報告書(全体版)にはすべての組み入れ銘柄が記載されています

※ 運用報告書には「交付運用報告書」と「運用報告書(全体版)」があります。交付運用報告書の内容は簡易的なので、すべての投資先が記載されているわけではありません。そのため、すべての組み入れ銘柄を確認したいときは運用報告書(全体版)を見てください。

交付目論見書は証券会社のホームページや運用会社のホームページ、モーニングスター(投資信託を評価する第三者機関)のウェブサイトなどから簡単にダウンロードできます。

モーニングスターへのリンクはこちら


なお、モーニングスターのウェブサイトの場合、下図のように「ポートフォリオ」をクリックすれば、交付目論見書を開かなくても、組み入れ上位10銘柄を確認できるようになっています。

モーニングスターのウェブサイトでポートフォリオを確認

モーニングスターでポートフォリオや交付目論見書を確認

一方、運用報告書(全体版)は、証券会社のホームページやモーニングスターのウェブサイトからダウンロードできないことがあります。そのため、運用報告書(全体版)に関しては、運用会社のホームページからダウンロードしたほうが確実です。

私の場合は、「投資信託の名前+運用報告書」でgoogle検索して、運用会社のホームページに移動することが多いです。運用会社のホームページには、最新の運用報告書だけでなく、過去の運用報告書もアップされているため、気になる場合は過去の組み入れ銘柄を確認することもできます。

このように、投資信託の投資先は簡単に確認することができます。自分の希望にあった運用がされているか確認するためにも、投資信託を買うときは、事前に投資先を把握しておくようにしましょう。

まとめ

  • 自分の希望に合った運用を行ってくれる投資信託を選ぶためにも、投資信託の購入前に主な組み入れ銘柄を確認したほうがよい。
  • 投資信託の組み入れ銘柄は、交付目論見書や運用報告書(全体版)で確認することができる。
  • 交付目論見書には、組み入れ上位10銘柄が記載されていることが多い。一方、運用報告書(全体版)にはすべての組み入れ銘柄が記載されていることが多い。

今回は、投資信託の組み入れ銘柄を確認することの重要性や組み入れ銘柄の確認方法について述べてきました。

投資信託は専門家に運用を任せることができるので大変便利な金融商品です。ただ、投資信託を選ぶときは、私たち顧客がしっかりと自分の目で確認しなければなりません。自分の希望に合った運用が行われる投資信託を選ぶためにも、主な投資先は事前に確認するようにしましょう。