「ブルは時々儲ける。ベアも時々儲ける。しかしホッグは決して儲けない。」

これは、世界金融の中心市場であるニューヨーク・ウォール街に古くから伝わる格言です。今回は、「ブル」「ベア」「ホッグ」について説明しながら、この格言の意味を解説していきます。投資で利益を得るためにも、「ホッグ」にならないよう気をつけましょう。

「ブル」の意味

ブル(Bull)は「雄牛(おうし)」という意味の英単語です。雄牛が角を下から上へ突き上げる仕草から、投資の世界では上昇相場強気という意味で使われます。

このような意味があるため、ウォール街には写真のような雄牛の銅像が設置されています。ちなみに、この銅像は「チャージング・ブル」や「ウォール・ストリート・ブル」と呼ばれています。

チャージング・ブル

また、「ブル型ファンド」という投資信託を聞いたことがある人もいるでしょう。ブル型ファンドとは、上昇相場のときに利益を得られる投資信託のことです

例えば、「SBI日本株3.7ブル」という投資信託があります。これは、日本の株式市場全体の約3.7倍の値動きをするように設計された投資信託です。

仮に、日経平均株価が前日比1%上昇した場合、SBI日本株3.7ブルは約3.7%上昇することになります。逆に、日経平均株価が前日比1%下落した場合、SBI日本株3.7ブルは約3.7%下落します。上昇相場で大きく儲けることができる反面、下落相場では大きく損をしてしまうのです。

このように、ブルには「上昇相場」や「強気」という意味があることを理解しておきましょう。

「ベア」の意味

ベア(Bear)は「熊」という意味の英単語です。熊が前足を振り下ろす仕草や背中を丸めている姿から、投資の世界では下落相場弱気という意味で使われます。

また、ブル型ファンドと同じように、ベア型ファンドという投資信託があります。ベア型ファンドは、下落相場のときに利益を得られる投資信託のことです。

例えば、「SBI日本株3.7ベア」という投資信託があります。これは、日本の株式市場全体の約マイナス3.7倍の値動きをするように設計された投資信託です。

仮に、日経平均株価が前日比1%下落した場合、SBI日本株3.7ベアは約3.7%上昇することになります。逆に、日経平均株価が前日比1%上昇した場合、SBI日本株3.7ベアは約3.7%下落することになります。下落相場で大きく儲けることができる反面、上昇相場では大きく損をしてしまうのです。

このように、ベアには「下落相場」や「弱気」という意味があることを理解しましょう。

「ホッグ」の意味

ホッグ(Hog)は「豚」という意味の英単語です。投資の世界では(豚のように)欲張りな人という意味で使われます。

例えば、過熱している相場に便乗する人はホッグになります。また、「損したくない」という気持ちが強い人もホッグに当てはまります。

相場のブームに便乗すると、たいてい痛い目にあいます。例えば、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(銘柄コード:3765)はスマホゲームがヒットしたことにより、かつて株価が100倍になったことがあります。しかし、ブームが去った後、株価は急落しました。

このケースのように、「儲けたい」という欲が強すぎて、すでに割高になっている銘柄に飛びつくと、急落して大きな損失を抱えることになるのです。

また、上記の「SBI日本株3.7ブル」と「SBI日本株3.7ベア」の両方を同じタイミングで買う人もホッグに該当します。「そんな買い方をする人いるの?」と思うかもしれませんが、実際にこのような人はいます。

特に、「損したくない」という気持ちが強い人がこのような買い方をします。そして、相場が上昇か下落のどちらかに動いたときに、片方に絞るのです。ただ、このような買い方をするのであれば、最初は買わずに相場が動いてから片方を買えばよいのです。

ちなみに、ブル型とベア型のファンドの両方を長期で保有すると間違いなく損をします。ここでは細かい説明は省略しますが、ファンドの性質上、損をするようになっているのです。

このように、ホッグは「儲けたい」「損したくない」という気持ちの強い「欲張りな人」を意味することを理解しておきましょう。

まとめ

「ブルは時々儲ける。ベアも時々儲ける。しかしホッグは決して儲けない。」には下記のような意味があります。

上昇相場(ブル)も下落相場(ベア)も判断が的確であれば、どちらかが儲けることができる。しかし、単なる欲張り(ホッグ)は欲と恐怖に振り回されて、儲けることができないまま終わる。

ほぼすべての人が「儲けたい」と思って投資をしています。しかし、その気持ちが強すぎるとリスクを取りすぎたり、適切な判断ができなくなったりしてしまいます。「ホッグ」にならないよう、常に冷静な気持ちでいることが大切なのです。