日本は低金利時代が続いています。銀行にお金を預けていても、利子がほとんどつかないのです。ところが、株式投資における「配当金」であれば、預金よりも大きなリターンを得ることができます。そのため、配当金を目的に株式投資をしている人もいます。

ただ、配当金の受け取り方は3通りあるため、慣れていない人は「どの方法で配当金を受け取ればいいの?」と悩むことがあります。

そこで今回は、それぞれの受け取り方の特徴や私が推奨する受け取り方(株式数比例配分方式)を紹介します。私はすべての受け取り方を体験しているので、その体験談も参考にしてみてください。

配当金の受け取り方は3通りある

冒頭に述べたとおり、配当金の受け取り方には下記の3つの方法があります。

従来方式(配当金領収証方式) ゆうちょ銀行などの窓口で配当金を受け取る
登録配当金受領口座方式 指定した銀行口座に配当金を入金してもらう
株式数比例配分方式 証券口座に配当金を入金してもらう

※ 銘柄ごとに銀行口座を分ける方式もありますが、マイナーな方法なので省略します

私はこの3通りの方式をすべて経験しました。その上で、配当金の受け取り方は「株式数比例配分方式がベスト」と考えています。その考えに至った経緯について、体験談を交えながら順に解説していきます。

従来方式(配当金領収証方式)

私が株式投資を始めた頃は、従来方式で配当金を受け取っていました。この場合、「配当金領収証」というはがきを受け取って、それをゆうちょ銀行などの窓口に持っていくことになります。

従来方式の最大のメリットは、窓口で現金を受け取れることです。そのため、「配当金をもらった」と実感することができます。一方、「手間がかかる」というデメリットもあります。

配当金領収証は銘柄ごとに一通ずつ送られてきます。仮に、10銘柄に投資をしていた場合、10通の配当金領収証が送られてくるのです。そして、すべての領収証にサインと捺印をしてゆうちょ銀行などの窓口に持っていかなければなりません。

私の場合、最初は窓口で現金を受け取ることに喜びを感じていました。しかし、投資先が増えるにつれてサインと捺印がわずらわしくなってきました。

また、当時サラリーマンだった私は、フレックスタイム制を利用して朝の9時頃にゆうちょ銀行の窓口に並んでいました。ただ、本業の勤務時間に影響していることにも疑問を感じていました。

このように、さまざまなデメリットが気になり始めたため、従来方式(配当金領収証方式)をやめることにしました。

<従来方式のメリットとデメリット>

メリット 配当金を受け取ったことを実感できる
デメリット ・領収書へのサイン&捺印がわずらわしい
・ゆうちょ銀行などの窓口に並ばなければならない
・株式数比例配分方式のメリットを得られない(詳細は後述します)

登録配当金受領口座方式

従来方式をやめたあと、特に深く考えることもなく登録配当金受領口座方式を選びました。登録配当金受領口座方式は「指定した銀行口座に配当金を入金してもらう方式」です。

配当金を受け取る時期になると、自動的に銀行口座に入金されるため、従来方式に比べるととても楽でした。そのため、この方式に対して特に大きな不満を感じることはありませんでした。

ところが、証券口座や税金のことをいろいろ調べるうちに、登録配当金受領口座方式よりも株式数比例配分方式のほうがメリットが大きいということに気づきました。そして、受け取り方法を株式数比例配分方式に変更したのです。

<登録配当金受領口座方式のメリットとデメリット>

メリット 銀行口座に入金されるため、手間がかからない
デメリット ・配当金を受け取ったことを実感しにくい
・株式数比例配分方式のメリットを得られない(詳細は後述します)

株式数比例配分方式

株式数比例配分方式は「証券口座に配当金を入金してもらう方式」です。この方式には他の方式にはない3つのメリットがあります。

<株式数比例配分方式のメリットとデメリット>

メリット ・NISA口座で管理している株式の配当金が非課税になる
・株式投資の運用成績と自動的に損益通算される
・複利効果を得やすい
デメリット 配当金を受け取ったことを実感しにくい

以下、各メリットについて順に解説していきます。

NISA口座で管理している株式の配当金が非課税になる

NISAは「少額投資非課税制度」のことです。NISA口座で株を管理している場合、「株の運用益や配当金に税金がかからない」というメリットがあります(ただし、NISA口座で買える株式は年間120万円までです)。

通常、株式投資で得た利益や配当金には20.315%(所得税 15.315%、住民税 5%)の税金がかかります。仮に、1万円の配当金を受け取る場合は、約2千円の税金が差し引かれるのです。

ところが、NISA口座で保有している株式に関しては、運用益や配当金を受け取るときに税金がかかりません。NISA口座にはこのようなメリットがあるため、私も一部の株式はNISA口座で管理しています。

ただし、このメリットを受けるためには、株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。つまり、株式をNISA口座で管理した場合でも、株式数比例配分方式以外の方式を選んでしまうと配当金は課税されてしまうのです。

このように、NISA口座のメリットを最大限に活かすためには、株式数比例配分方式を選ばなければならないのです。

株式投資の運用成績と自動的に損益通算される

特定口座(源泉徴収あり)で株を管理している場合、株式数比例配分方式を選ぶことで、株式投資の損益と配当金を自動的に相殺して税金を計算してくれます。これを損益通算といいます。

例えば、以下のケースを見てください。

・1年間の株式投資の運用成績:マイナス10万円
・1年間に実際に受け取った配当金:約8万円
 ※ 税引き前の配当金(10万円)から税金(約2万円)が天引きされている

配当金は20.315%の税金が源泉徴収された形で支払われます。このケースであれば、本来の配当金は10万円です。しかし、税金が天引きされるため、約8万円しか受け取れません。

ただ、このケースでは、株式投資で10万円の損失が生じています。この損失と税引き前の配当金を合計すると±0になります。つまり、利益を得ているわけではないので、約2万円の税金を支払う必要はないのです。

このとき、特定口座(源泉徴収あり)と株式数比例配分方式のセットであれば、翌年の年初に約2万円が自動的に証券口座に還付されます。このように、損益通算を自動的に行ってくれるため、とても楽なのです

一方、特定口座(源泉徴収あり)以外の口座で取引をしていたり、株式数比例配分方式以外の方式で配当金を受け取ったりしている場合は、確定申告をして自分で損益通算を行わなければなりません。

複利効果を得やすい

複利とは、投資で得た利益をそのまま次の投資資金として利用することです。

株式数比例配分方式であれば、証券口座に配当金が入金されます。そのため、その配当金を使って新たに株式を購入することができるのです。

従来方式(配当金領収証方式)や登録配当金受領口座方式で配当金を受け取った場合でも、証券口座に再入金すれば複利効果を得ることはできます。ただ、証券口座へ入金する手間を考えると、株式数比例配分方式を選んだほうが効率的です。

まとめ

  • 配当金の主な受け取り方は「従来方式(配当金領収証方式)」「登録配当金受領口座方式」「株式数比例配分方式」の3通りである。
  • 株式数比例配分方式には、他の方式にはないさまざまなメリットがある。そのため、配当金の受け取り方は「株式数比例配分方式」を選ぶべきである。

今回は、配当金の受け取り方について、私の体験談を交えながら解説してきました。私のまわりで株式投資を行っている人は、みんな株式数比例配分方式で配当金を受け取っています。証券会社のHPから簡単に設定できるので、他の方式を選んでいる人は変更することをおすすめします。