「人の行く裏に道あり花の山」

これは、株式投資における有名な格言です。株式投資を長年やっている人であれば、聞いたことがあると思います。

今回は、この格言の意味や投資に応用するときの考え方について解説していきます。あなたの投資にも役立つはずなので、その概要をしっかりと理解しておきましょう。

「人の行く裏に道あり花の山」の意味

この格言には、「いずれを行くも散らぬ間に行け」という下の句が続きます。もともとは千利休が詠んだ句といわれています。

本来は、「山で花を見るのであれば、大勢の人が行くところではなく裏道を行ったほうがよい。ただし、いずれの道を行く場合でも、散る前に行きなさい。」という意味です。

ただ、この考え方が株式投資にも当てはまることから、株式投資の格言として使われるようになりました。投資の世界では、以下のように解釈されています。

株式市場で利益を得るためには、他人と同じことをやらないほうがよい。他人と逆の行動をすばやく取ることで利益が得られる。

多くの投資家はブームに流されて、他人と同じことをする傾向にあります。例えば、仮想通貨が盛り上がっていると聞けば、仮想通貨に関連する株式に飛びつきます(株式ではなく仮想通貨そのものに飛びつく人もいます)。

しかし、ブームはすぐに去ってしまうため、買った後は株価が伸びなかったり株価が下落したりすることがよくあります。

このように、他人の動きや情報に釣られていると、思ったように成果をあげられないことが多いのです。

同じ意味の格言

「人の行く裏に道あり花の山」と同じ意味の格言は数えきれないほどあります。一例を以下に紹介します。

野も山も皆一面に弱気なら、阿保になりて米を買うべし(牛田権三郎:「相場のバイブル」と呼ばれる「三猿金泉禄」を記した江戸時代の米商人)

万人が万人ながら強気なら、たわけになりて米を売るべし(同上)

人びと西に走らば、我は東に向かう(本間宗久:「相場の神様」と呼ばれた江戸時代の米商人)

Buy when others sell; Sell when others buy. (人が売るときに買い、人が買うときに売れ:ニューヨーク・ウォール街に伝わる格言)

この他にも同じ意味の格言はたくさんあります。これほど多くの格言が存在することからも、これらの格言が投資の本質を物語っていることがわかると思います。

私の心構え

ここまでの説明で、「他人と異なる行動を取ることが大事」ということがわかったと思います。ただ、これを実践するのはかなり難しいです。また実践すると損をすることもあります。「逆張りすればよい」という単純な話ではないのです。

※ 逆張り:相場の流れに逆らって、株価が下落しているときに買い、株価が上昇しているときに売ること。反対に、相場の流れに従って取引することを「順張り(トレンドフォロー)」といいます。

通常、株式市場が右肩上がりのときは、株を買った方が儲かります。つまり、素直に「順張り」をしたほうが勝率は高いです。私自身も「業績のよい銘柄を買って長期で保有する」という投資スタイルなので、どちらかというと順張り派です。

ただ、順張り派によくある失敗は、「一回の暴落でそれまで積み上げた利益を失うこと」です。つまり、「勝率は高いのに、資産が増えない」という状態になるのです。そうならないためにも、順張り派の人もこの格言を常に意識しておく必要があります。

ちなみに、私自身は常に以下のことを意識しながら株式投資をしています。

  • ブームには乗らない。スマホゲーム株やバイオ株が急騰していても、「乗り遅れたくない」という理由では買わない。普段通りに企業分析を行い、買う価値があると判断すれば買う。
  • 「暴落のリスク」を頭の片隅においておく。また、「暴落=安く買えるチャンス」でもあるので、一定の資金を常に「現金」として保有しておく。



株式相場は必ず上昇と下落を繰り返します。リーマン・ショックのように大暴落するときがあれば、アベノミクスのように大幅に上昇することもあるのです。

そのため、「いつかは必ず相場のトレンドが変わる」というふうに考えています。このように考えているため、株式市場が大暴落しても、損失額は許容範囲に収まるようになっています。

まとめ

  • 「人の行く裏に道あり花の山」は非常に有名な格言である。この格言には「投資の世界では、他人と逆の行動を取ることが大事である」という意味がある。
  • ただ、この格言を実際の株式相場で実践するのはかなり難しい。重要なのは「株式相場は上昇と下落を必ず繰り返す」ということを常に意識しておくことである。

今回は、株式投資においてとても有名な格言について解説してきました。「株式相場は上昇と下落を繰り返す」ということを頭の片隅に置いておけば、大きな損失を避けることができます。また、大暴落をチャンスと捉えることもできます。チャンスとピンチは表裏一体であることを覚えておきましょう。