つなぎ売り(クロス取引)を利用すれば、株価の値下がりを気にすることなく、株主優待を取得することができます。
つなぎ売りとは、株式の「現物買い」と「空売り」の両方を注文することです。「現物買い」で株主の権利を確保しつつ、「空売り」で株価の値下がりによる損失をカバーするのです。つまり、つなぎ売りをすれば、実質的に手数料のみで株主優待を手に入れることができるのです。
今回は、5月につなぎ売りをするときの注意点とおすすめ銘柄を紹介します。この記事を参考に、あなたも5月に株主優待を取得してみてください。
つなぎ売り(クロス取引)をするときの注意点
つなぎ売りをするときには、いくつか注意点があります。その中でも代表的なのが「逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生しないように空売りをする」ということです。
逆日歩が発生しないように空売りをする
逆日歩とは、「空売りをしたときに発生する可能性がある追加の手数料」です。空売りをする人があまりに多いときに発生することがあります。
逆日歩の怖いところは、「いつ」「どれくらいの金額」で発生するかわからないことです。
過去には、伊藤ハム米久HD(銘柄コード:2296)を空売りした人に32,000円の逆日歩が課されたことがあります。伊藤ハム米久HDの株主優待は5,000円相当の自社商品(ハムなど)なので、「32,000円の逆日歩を支払って5,000円の商品を手に入れた」という状況になったのです。
このような事態を避けるためにも、空売りをするときは逆日歩の発生に注意する必要があります。そして、逆日歩を確実に回避する方法が一般信用売りで空売りをすることです。なぜなら、一般信用売りには「逆日歩が発生するリスクがない」というメリットがあるからです。
ただ、一般信用売りには下記のようなデメリットもあります。
- 一般信用売りができる証券会社は、SBI証券や楽天証券など一部の証券会社に限られる
- 一般信用売りができない銘柄がある
- 一般信用売りは早い者勝ちである(ある程度一般信用売りされると、一般信用売り注文ができなくなる)
このようなデメリットがありますが、簡単に逆日歩を避けられるので、初心者には「一般信用売り」をおススメします。
一方、空売りに慣れている人は、制度信用売りで空売りをしても構いません。制度信用売りには一般信用売りとは真逆の特徴があります。つまり、上記のようなデメリットがない反面、逆日歩が発生するリスクがあるのです。
そのため、制度信用売りをするときは、貸借倍率(信用買い残高と信用売り残高の比率)を見て、空売りしている人が少ないことを確認するようにしてください。企業規模なども影響するため一概にいえませんが、貸借倍率が3.00以上なら逆日歩が発生するリスクは低いでしょう。
5月特有の注意点
つなぎ売りをする上で、5月特有の注意点が2つあります。以下、順に説明していきます。
株主優待を設定している企業が少ない
5月に株主優待制度を設定している企業は少ないです。なぜなら、日本では3月決算や12月決算が主流だからです。多くの企業では3月、6月(12月決算の上半期)、9月(3月決算の上半期)、12月に株主優待制度を設定しているのです。
このような理由から、5月に株主優待制度を設定している企業は多くありません。そのため、銘柄を選ぶときは少し基準を甘くしましょう。そうしないと、「つなぎ売りをする銘柄がない」という状況になる可能性があります。
私は普段は以下の基準で銘柄を選んでいますが、5月はこの基準を満たさない銘柄でも候補に入れるようにしています。
- 基準①:株主優待の価値が2,000円以上
- 基準②:株主優待の価値が購入価格の1%以上
5月は厳密な基準を設けていませんが、資金に余裕があれば「株主優待の価値が1,000円」のものでもつなぎ売りをすることがあります。
権利確定日が月末以外に設定されている銘柄がある
ほとんどの企業は月末が権利確定日です。したがって、その3営業日前が権利付き最終日(この日に株を保有しておけば株主優待をもらえる)になります。通常、権利付き最終日は月末の26日前後です。
ところが、5月15日や5月20日が権利確定日になっている企業があります。具体的には、銚子丸、ツルハホールディングス、サツドラホールディングス、クスリのアオキホールディングスなどが該当します。
銘柄 | 権利確定日 | 優待内容 |
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銚子丸(3075) | 5月15日 | 2,500円相当の優待食事券 |
ツルハホールディングス(3391) | 5月15日 |
① 2,500円の自社商品券または地方名産品 ② 株主優待カード(5%割引) (①と②の両方もらえる) |
サツドラホールディングス(3544) | 5月15日 |
① 1,500円の自社商品券または北海道名産品 ② 株主優待カード(5%割引) (①と②の両方もらえる) |
クスリのアオキホールディングス(3549) | 5月20日 | 株主優待カード(5%割引)または2,000円相当の地方名産品 |
これらの株主優待がほしい場合、5月15日もしくは5月20日の3営業日前に株を保有しておく必要があります。間違って、5月26日頃につなぎ売りをしても株主優待はもらえないので、注意してください。
5月のおすすめ銘柄
最後に、5月のおススメ銘柄を紹介します。
食品
■ 大黒天物産(2791)
優待内容 | 2,000円相当の果物 |
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私の取得歴 | なし |
コメント | 人気が高いため、早めにつなぎ売りをしないと一般信用売りができなくなってしまう(一般信用売りできる数は限られているため) |
割引券
■ キャンドゥ(2698)
優待内容 | 2,160円分の優待割引券 |
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私の取得歴 | あり |
コメント | 一般信用売りできない可能性が高いので、逆日歩に注意しながら制度信用売りをする必要がある |
■ ハニーズホールディングス(2792)
優待内容 | 500~6,000円相当の自社商品割引券 |
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私の取得歴 | あり |
コメント | ネットオークションで売るためにつなぎ売りをする人もいる |
カタログギフト
■ 宝印刷(7921)
優待内容 | 1,500円相当の「選べるギフト」 |
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私の取得歴 | なし |
コメント | スープセットや今治タオルセットなど7種類のギフトから1つを選ぶ |
■ サカタのタネ(1377)
優待内容 | 株主優待カタログ |
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私の取得歴 | あり |
コメント | お菓子、お米、球根セットなど複数の商品の中から選べる |
その他、複数の商品から選べる
■ サツドラホールディングス(3544)
優待内容 |
① 1,500円の自社商品券または北海道名産品 ② 株主優待カード(5%割引) (①と②の両方もらえる) |
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私の取得歴 | なし |
コメント |
・権利確定日は5月15日なので注意が必要 ・一般信用売りできない可能性が高いので、逆日歩に注意しながら制度信用売りをする必要がある |
■ クリエイトSDホールディングス(3148)
優待内容 | 1,500円分の買い物優待券 or お米券(3kg)or カタログギフト |
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私の取得歴 | あり |
コメント | 近くに店舗がある人にはおすすめ |
■ クスリのアオキホールディングス(3549)
優待内容 | 株主優待カード(5%割引)or 2,000円相当の地方名産品 |
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私の取得歴 | なし |
コメント | 権利確定日は5月20日なので注意が必要 |
■ コスモス薬品(3349)
優待内容 | 5,000円相当の買い物優待券 or お米券(10kg分) |
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私の取得歴 | あり |
コメント | 株価が高いのである程度の資金が必要 |
まとめ
- つなぎ売りをするときは、逆日歩が発生しないように空売りをする必要がある。
- 5月は、「株主優待を設定している企業が少ない」「権利確定日が月末以外に設定されている銘柄がある」の2点に注意する必要がある。
今回は、5月につなぎ売りをするときの注意点とおすすめ銘柄を紹介しました。5月は株主優待を設定している企業が少ないので、銘柄を選ぶときは少し基準を甘くしたほうがよいです。ただ、なかにはお得な株主優待を配布する企業もあります。あなたもぜひ5月のつなぎ売りにトライしてみてください。