「ETFってよく聞くけど何だかよくわからない」と思う投資初心者は多いです。「ETF」はアルファベット三文字の略称ということもあり、なかなかわかりづらいかもしれません。

ETFは簡単にいうと「上場している投資信託のこと」です。上場しているため、株と同じように証券取引所で自由に売買できます。インターネット証券を利用すれば、PCやスマホを使って株のように簡単に売買できるのです。

ETFはお小遣い程度の少額から買えるので投資初心者におススメの金融商品です。また、不動産や金などを投資対象としたETFもあることから、通常の株式投資では物足りない中級者にも適した金融商品といえます。

今回は、ETFの特徴を一般的な投資信託や株式と比較しながら解説していきます。また、銘柄選びに悩む株初心者におススメの「インデックス投信」についても説明します。ネット証券を使えば簡単に買える金融商品なので、その特徴をしっかりと把握しておきましょう。

ETFは株式市場に上場している投資信託

ETFは「Exchange-Traded Fund」 を略したもので、日本語訳は「上場投資信託」になります。その名の通り、株式市場に上場されている投資信託です。そのため、株と投資信託の両方の特徴を併せ持っています。

ETFの特徴を解説する前に、まずは投資信託について理解を深めておきましょう。

投資信託の特徴

投資信託とは、多くの投資家から集めたお金をファンドマネジャーと呼ばれる投資のプロがまとめて運用してくれる金融商品です。ファンドマネジャーは投資家から預かったお金を株式や債券に投資し、その運用成果を投資家に分配しているのです。いいかえると、投資家はファンドマネジャーにお金を預けて資産運用をお任せしていることになります。

投資信託を購入すると、主に3種類の費用がかかります。購入時に必要となる「購入時手数料(販売手数料)」、運用期間中に必要となる「運用管理費用(信託報酬)」、そして信託期間の途中で解約して換金するときに必要となる「信託財産留保額」です。

ただ、購入時手数料や信託財産留保額が無料の投資信託もあります。特に、購入時手数料(英語でload(ロード)という)が無料の「ノーロード投信」は多くの投資家に人気の金融商品となっています。

また、投資信託の中には積立投資ができるものがあります。銀行の積み立て定期預金のように、毎月一定の金額を投資信託の購入に充てることができるのです。そうすることで、コツコツと長期的な視点で資産運用をすることができます。

投資信託の注意点

投資信託はファンドマネジャーに資産運用をお任せする金融商品ですが、元本が保証されるわけではありません。ファンドマネジャーの運用成績が悪ければ購入したときよりも値下がりし、元本割れするリスクがあるのです。さらに、元本割れした場合でも、上記の運用管理費用(信託報酬)を支払う必要があります。

「投資信託=ファンドマネジャーに資産運用を任せている状態」なので、自分で株式を買う場合と比較すると、どうしても手数料は高くなってしまいます。

また、投資信託では1日に1回だけ「基準価額」が算出されます。基準価額は株式の株価と同じように、その投資信託を購入するのに必要な取引価格です。ただし、株価と大きく異なる点が一つあります。

通常、基準価額は夕方~夜に決まるため、投資家が買い注文を出す時点では前日の基準価額しか把握できません。ところが、購入価格はその日(投資信託によっては翌日以降)の夕方~夜に算出される基準価額が適用されます。そのため、実際の購入価格がはっきりとわからない段階で注文を出すことになるのです。

投資信託には以上に述べたようなメリットとデメリットがあることを理解しておきましょう。それでは次に、ETFの特徴を一般的な投資信託や株式と比較していきます。

ETFの特徴:投資信託・株式との違い

投資信託、株、ETFの特徴をまとめると以下の表のようになります。

投信、株、ETFの比較

この表からわかるとおり、ETFは基本的に株式と同じように購入することができます。株価が刻一刻と変化しているのと同じように、ETFの価格も常に変動しています。そのため、投資家はリアルタイムの価格を確認しながら買い注文を出すことができます。また、株式投資と同じように信用取引で買ったり、空売りをしたりすることも可能です。

ETFは基本的に株式とほぼ同じように購入できますが、表の下3つの項目(分配金・配当金、最低投資金額、信託報酬)は株式とは少し異なります。そこで、これらについて解説していきます。

分配金・配当金

株式では権利確定日に株式を保有していれば、企業から配当金をもらえます。一方、投資信託やETFの場合は、個別の企業から配当金をもらうことはできません。

ただ、投資信託やETFの運用成績が良ければその利益を分配金という形で受け取ることができます。ただし、運用成績が悪ければ分配金が出なかったり元本を切り崩して分配されたりします。

投資信託の場合、分配金を受け取らずにその分を再投資することもできます。複利運用で効率よく運用するためには、分配金は受け取らずに再投資したほうがよいです。

一方、ETFの場合は分配金の再投資ができません。分配金が出る場合は必ず払い出されてしまうので、複利の効果を活かして運用することはできないのです。

最低投資金額

通常の株式投資では、1万円以上の資金が必要な銘柄がほとんどです。それに対して、一般的な投資信託は100円程度の少額から投資できます。お小遣い程度の少額からでも投資できるのが投資信託の大きな特徴です。

ETFでは3万円以下の銘柄が多いです。株式と比べると必要資金が少ないことが多いので、ETFは投資初心者でも手を出しやすい金融商品といえます。

運用管理費用(信託報酬)

上述のとおり、投資信託には「購入時手数料(販売手数料)」「運用管理費用(信託報酬)」「信託財産留保額」の3つの費用が発生します。

一方、ETFは株式と同じように売買されるので、売買手数料を証券会社に支払う必要があります(投資信託の販売手数料や信託財産留保額に該当すると考えても構いません)。

また、信託報酬は投資信託と同じように支払わなければなりません。信託報酬はプロに運用・管理してもらうための委託費用なので、ETFを保有している間はずっと支払う必要があるのです。

投資信託やETFの種類によって信託報酬の金額は異なります。当然ですが、ETFの保有期間が長ければ長いほど、信託報酬の低い商品を選ぶことが重要になります。

なお、一般的な投資信託に比べると、ETFの信託報酬は安く設定されている場合が多いです。

このように、ETFは投資信託と株式の特徴を併せもった金融商品です。基本的な売買方法は株式と同じですが、「分配金・配当金」「最低投資金額」「信託報酬」に関しては株式とは異なることを理解しておきましょう。

ETFを利用したインデックス投資

最後にETFを利用したインデックス投資について紹介しておきます。

インデックス投資とは、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数(=インデックス)と連動した値動きをするように金融商品を選んで投資することです。そして、そのような金融商品の代表例が「インデックス投信(インデックスファンド)」です。

インデックス投資は投資スタイルのことです。一方、インデックス投信は投資信託のことです。名前は似ていますが、微妙に意味は異なります。「インデックス投資をするためにインデックス投信を買う」といった表現をします。

国内の株式市場で買えるETFのほとんどはインデックス投信です。そのため、これらのETFを購入することで簡単にインデックス投資を始めることができます。インデックス投信には「分散投資」「少額投資」「海外投資」などの特徴があるので、これらについて順に解説していきます。

特徴①:分散投資
1つのETFを購入するだけで、複数の銘柄に分散投資することができます。 特定企業の不祥事や業績の悪化の影響を受けにくくなるため、個別株よりは値動きが安定しています。

特徴②:少額投資
上述のとおり、個別株よりも安く買うことができます。まとまった資金が必要な株に比べ、インデックス投信は数万円からスタートできます。

特徴③:海外投資
海外の株価指数に連動したETFもあるので、簡単に国際分散投資ができます。日本だけでなく外国にも分散投資することで、国内景気が悪いときも利益を伸ばすことが可能になります。

また、インデックス投信には日経平均やTOPIXに連動するETFの他に、不動産価格に連動するETF(REIT)や、金や原油などの商品に連動するETF(コモディティ)もあります。株式相場とは違った値動きをする金融商品ですが、ETFなのでインターネット証券を使えば簡単に購入できます。通常の株式投資では物足りない投資中級者はこれらの商品を購入してみてもよいでしょう。

また、銘柄選びに迷っている投資初心者にもインデックス投信はおススメです。上記の3つの特徴があるため、個別の株式のように暴落して大きな損失を抱えるリスクが低いからです。

ただし、買うタイミングには気をつけましょう。高値で買ってしまわないように、日々経済ニュースに耳を傾けて「株安」と大々的に報道されているときに買うとよいでしょう。

まとめ

  • ETF(Exchange-Traded Fund)は上場投資信託のことである。そのため、投資信託と株式の両方の特徴を併せ持った金融商品といえる。
  • ETFの売買方法は基本的には株式と同じである。ただしETFの場合、株式投資では支払う必要のない運用管理費用(信託報酬)を支払う必要がある。
  • ETFを利用したインデックス投資には、「分散投資」「少額投資」「海外投資」などのメリットがある。

今回はETFの特徴を一般的な投資信託や株式と比較しながら説明してきました。インターネット証券を使えばETFは株式と同じように自由に売買することができます。初心者でも簡単にリスクの低いインデックス投資ができるので、あなたも投資対象として検討してみてはいかがでしょうか?