投資信託にはパッシブ運用アクティブ運用という2つの運用スタイルがあります。

パッシブ(passive)は「消極的な、受け身の」という意味の英単語です。また、アクティブ(active)は「積極的な、活発な」という意味の英単語です。これらの英単語の意味から、どのような運用スタイルかある程度想像できると思います。

今回はパッシブ運用とアクティブ運用の違いについて詳しく解説していきます。投資信託を買う上で必須となる知識なので、それぞれの運用方法の特徴を理解しておきましょう。

パッシブ運用とは

パッシブ運用とは「TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価指数などの指数と同じ値動きをするように運用すること」です。そして、パッシブ運用を行う投資信託のことをインデックスファンドといいます。

指標となるのはTOPIXや日経平均株価だけではありません。米国のS&P500や香港のハンセン指数など、海外の株価指数に連動するインデックスファンドもあるのです。

このように、何らかの指数を指標としている投資信託がインデックスファンドです。また、TOPIXや日経平均株価のように、指標となる指数のことをベンチマークといいます。実際には、「この投資信託はTOPIXをベンチマークにしたインデックスファンドです」のような言い方をします。

それでは、具体的なインデックスファンドの例を見て理解を深めていきましょう。

インデックスファンドの例:ニッセイ日経225インデックスファンド

ニッセイアセットマネジメント株式会社が運用している「ニッセイ日経225インデックスファンド」という投資信託があります。

この投資信託は日経平均株価をベンチマークにしたインデックスファンドです。例えば、日経平均株価が1ヶ月間で10%上昇したら、ニッセイ日経225インデックスファンドの基準価額も約10%上昇するように設計されています。

当然、この投資信託には日経225銘柄(日経平均株価の算出に使われる225銘柄)が多数組み入れられています。

下の図を見てください。これは、「ニッセイ日経225インデックスファンドの組み入れ上位銘柄」と「日経平均株価への寄与度の大きい銘柄」を比較した図です。両者の銘柄がかなり似ていることがわかると思います。

日経225インデックスファンドの組み入れ上位銘柄

このように、インデックスファンドではベンチマークとなる指数にしたがって、組み入れる銘柄がほぼ自動的に決まるのです。

いいかえると、インデックスファンドの運用会社は、投資対象となる企業を独自に発掘する必要がほとんどないといえます。そのため、「パッシブ(消極的な、受け身の)運用」という名前が付けられているのです。

アクティブ運用とは

アクティブ運用とは「TOPIXや日経平均株価指数などの指数を上回る成績を目指して運用すること」です。そして、アクティブ運用を行う投資信託のことをアクティブファンドといいます。

※ 指数を上回る運用成績を目指していますが、その目的が達成されずに市場平均を下回る運用結果になることもあります

アクティブファンドでは、運用担当者(ファンドマネージャー)が企業を訪問して社長と面談したり、企業の経営状態や経営方針を詳細に分析したりします。その上で、株価が上がりそうな会社を積極的に探して投資を行います。

そのため、アクティブファンドに組み入れられる銘柄はファンドマネージャーの目利きに依存しているといっても過言ではありません。このことを以下の具体例で確認しましょう。

アクティブファンドの例:ひふみプラス

レオスキャピタルワークス株式会社が運用している「ひふみプラス」という投資信託があります。

この投資信託は、国内外の株式に積極的に投資するアクティブファンドです。そのため、組み入れ銘柄はインデックスファンドとは大きく異なります。

実際、下図のように、「ひふみプラス」の組み入れ上位銘柄は「ニッセイ日経225インデックスファンドの組み入れ上位銘柄」と一つも重複していません。

ひふみプラスの組み入れ上位銘柄

このように、アクティブファンドはファンドマネージャーの分析力に依存して、組み入れ銘柄が変わるのです。

ファンドマネージャーは良い運用成績を残すために、積極的に企業分析を行います。そのため、「アクティブ(積極的な、活発な)運用」という名前が付けられているのです。

また当然、運用成績もインデックスファンドや市場平均とは異なります。市場平均を上回って大きな利益をもたらすこともあれば、市場平均を下回って損失を抱えることもあります。つまり、アクティブファンドはインデックスファンドに比べると、ハイリスク・ハイリターンの投資信託なのです。

インデックスファンドとアクティブファンドの手数料

それでは、インデックスファンドとアクティブファンドでは、どちらの信託報酬が高くなるでしょうか?

※ 信託報酬:投資信託を保有している間に発生する手数料。年間手数料は預け入れ資産の0.05~3%程度。

ここまでの説明を読めば、答えはすぐにわかると思います。ファンドマネージャーが企業分析などを積極的に行っていることから、アクティブファンドのほうが信託報酬は高くなります。特に、「新興国の株式」のように、投資対象の情報収集に手間がかかる場合は信託報酬が高くなりやすいです。

実際、投資信託協会が2018年4月に発表したデータによると、信託報酬の平均は「インデックスファンド 0.45%」「アクティブファンド 1.18%」でした(データ引用元:投資信託協会)。

また、「信託報酬の平均はインデックスファンドで0.5%台、アクティブファンドで1.4~1.7%」と書かれている書籍もあります。

調査する年代によって結果は微妙に異なりますが、いずれにしても、アクティブファンドの手数料はインデックスファンドの2倍以上といえます。

このように、手数料だけを考えると、アクティブファンドよりもインデックスファンドの方が優れているのです。

まとめ

  • パッシブ運用は「TOPIXや日経平均株価などの指数と同じ値動きをするように運用すること」である。そして、パッシブ運用を行う投資信託をインデックスファンドという。
  • インデックスファンドの組み入れ銘柄は、ベンチマークとなる指数にしたがってほぼ自動的に決まる。企業分析を行う必要がないため、手数料は安くなる。
  • アクティブ運用は「指数を上回る成績を目指して運用すること」である。そして、アクティブ運用を行う投資信託をアクティブファンドという。
  • アクティブファンドの組み入れ銘柄は、ファンドマネージャーの分析に依存して決まる。さまざまな企業分析を行う必要があるため、手数料は高くなる。

今回は、インデックスファンドとアクティブファンドの違いについて詳しく解説してきました。冒頭に述べたとおり、これらは投資信託の必須知識ですので、忘れないようにしてください。投資信託を選ぶときは、この知識が必ず役立つはずです。